高級料亭にも使われる「聚楽壁」とは?メリット・デメリット、補修方法を解説
高級料亭にも使われる「聚楽壁」とは?メリット・デメリット、補修方法を解説
2024.02.01
古民家など日本の住宅で見かけることのある「聚楽(じゅらく)壁」をご存知ですか?
聚楽壁は和の独特な雰囲気を醸し出すことが出来るため、和室や茶室、料亭等の壁として人気の高い塗装方法の一つです。
今回の記事では、この「聚楽壁」の特徴や聚楽壁にすることのメリット・デメリット、リフォームの方法や注意点について解説します。
どうぞ最後までご覧いただき、家づくりの際の参考にしていただければと思います。
聚楽壁とは
聚楽壁とは土壁の一種です。土壁には他に漆喰、珪藻土、砂と糊を練ったものを混ぜた砂壁等の種類があり、土で仕上げる壁のことを指します。
その起源は安土桃山時代まで遡ります。豊臣秀吉が聚楽第を建てた際に聚楽土という土を使用して壁を塗ったことから聚楽壁が始まったと言われています。
本来は聚楽土を使った塗り壁を聚楽壁と呼んでいましたが、現在では違う土を使用していても聚楽壁を再現した塗装を行っている壁も総称して聚楽壁と呼んでいます。
聚楽壁は見る人に格調の高いイメージを与える美しさがあるため、高級な旅館や料亭等にもよく用いられています。
また、呼び名は地域で異なる場合があり、関東では京都を中心に発達したことから「京壁」と呼ばれることもあります。
現代の住宅では土壁の中でも珪藻土(けいそうど)壁がよく使われていますが、珪藻土壁は小さな穴がたくさんある多孔質で出来ているため聚楽壁よりも調湿性などの機能が優れており洋室にも適していることや、さまざまなデザインの塗装が出来るためでしょう。
聚楽壁のメリット
聚楽壁はムラがなく均一に塗り上げるため、パッと見ただけで格調の高さを感じさせることが出来る美しさが大きな魅力の一つです。
着色料を配合することでさまざまなカラーのバリエーションを選ぶことが出来ますので、素朴な土の質感を持ちながら和モダンなどお好みのインテリアを演出することも可能です。
また、聚楽壁は珪藻土壁ほどではありませんが土を素材としているため調湿や消臭といった快適な暮らしへの機能も備えており、珪藻土よりも材料費が安いというメリットもあります。
聚楽壁のデメリット
一方で、聚楽壁のデメリットとしては他の土壁と比べて塗装に高い左官の技術を必要とするため、経験豊富なプロの職人に依頼して施工しないと美しい仕上がりにならないという点です。
最近は壁を自分たちでDIYすることも流行っていますが、聚楽壁は無理でしょう。
そのため材料費の面でコストを抑えることが出来ても、依頼する職人によって費用が高くなるというケースも考えられます。
また、水に触れるとシミになってしまうことがあるため、汚れた時に気軽に水拭きすることが出来ないという点もデメリットと言えるかも知れません。
小さなお子さんのいる家庭では注意が必要ですね。
対処としては乾拭きや消しゴム、やわらかいほうき等を使って軽く埃を払うといった方法をおすすめします。
ただし、聚楽壁は黒ずみしずらく、たとえ色の変化があってもそれが味になる壁ですのでその点はメリットでしょう。
聚楽壁を補修する方法
聚楽壁を補修するタイミングは、傷やヒビ、変色、カビ等が発生した時です。
下地に問題がなければ表面に重ね塗りで対応することが可能ですが、触るだけで剥がれてきたり土がポロポロ落ちてくるような状態の場合は一度壁を剥がして下地を整え塗り直した方が良いでしょう。
また、小さな傷や色ムラのある部分だけの補修やカラーを変更したいといった場合には専用の塗料を使ってローラーで手軽にリフォームを行うことも可能です。
まとめ
以上のように、聚楽壁は自然で素朴、人の体に優しい安全な素材ながら高級感や格調高い印象を与える内装を作ることができ、古い建築だけでなく最近の住宅や店舗でもいまだに採用されている人気の高い壁です。
一方、美しい仕上げのためには高い技術力が必要で、一から塗装するには聚楽壁を施工した事例が豊富にある会社や職人に依頼する必要があります。結果として費用が高くなる可能性もあるので、その点も頭に入れて相談するようにしましょう。