民泊の改築に対する法律や注意点について解説します - 古民家再生 丹保建設 富山県南砺市 金沢市

民泊の改築に対する法律や注意点について解説します

民泊の改築に対する法律や注意点について解説します

2024.02.01

近年、日本では「民泊」が流行しており、外国人の観光客だけでなく日本人の利用者も多く、旅でのリーズナブルな宿泊先として一般的な選択となってきました。
民泊は会社ではなく個人でも運営することが可能なため、戸建てやマンション、空き家となっている古民家などを購入して改築し、民泊として再生しビジネスを始める人も増えています。
そこで今回の記事では、これから民泊ビジネスに挑戦しようと考えている方に向け、民泊の概要や改築の進め方、営業を始めるために守らなければならない法律や注意点について解説してまいります。
どうぞ最後までご覧いただき参考にしていただければと思います。

民泊とは

民泊とは、戸建てやマンションの部屋の一部または全体を短期間、他人に有償で貸し出す(宿泊させる)形式のサービスのことを言います。
似たサービスに「ゲストハウス」がありますが、こちらはシェアハウスの形態に近く、キッチンやトイレ、リビング等は共有スペースとなっていて宿泊者同士が交流することを前提に作られている宿泊施設であることが多いという違いがあります。
民泊はホテルや旅館に泊まるよりも”現地で生活をしているという感覚が得られる”という特徴があり、その地域の文化やそれぞれの家庭のスタイルを体験しながらリーズナブルに宿泊できることに大きな魅力があります。

民泊へ改築する手順

民泊へ改築し営業をスタートするための手順を以下にざっくりと紹介してまいります。

1.法令、条例を確認する

民泊はいくつもの法律や自治体ごとに決められている地域条例に則って運営しなければなりません。
そもそも民泊が禁止されている地域もあるため、せっかく改築をしても運営することが出来なかったという事例もあります。

2.物件を探す

地域の収益率や稼働率を調べ、民泊の需要が見込めそうな場所を選び物件を探します。
遠方である場合は地元の不動産会社に相談したり、「空き家バンク」等のサイトを利用してみましょう。

3.民泊の改修実績のある会社へ依頼する

民泊への改築は、民泊のリフォームやリノベーションをこれまで多く扱い経験が豊富な業者を選び依頼することがおすすめです。
民泊を運営するには建物自体への規制が多くあるため、知識のある業者であればスムーズに進めることが出来るからです。
とはいえ費用も重要になりますから、複数のリノベーション会社に見積もりを請求し、相場を把握して予算と希望の内容に合ったところを選ぶことが大切です。
また、自治体にも事前に相談しておくと安心です。

空き家を民泊に改築する場合は補助金が出ることもある

民泊ビジネスを始める方の中には、空き家となった古民家等を改築しようと考えている方もいらっしゃると思います。
空き家は現在、日本の社会問題となっており、各自治体が民間業者と連携しながら空き家の除却や再生に対する補助金を設置しているケースが少なくありません。
支給される補助金の額や条件は自治体によって異なりますが、改修費によって数百万円の補助金が設定されているため、改築する前に自治体のホームページや窓口で確認してみることをおすすめします。

民泊に関する法律と手続き

民泊の運営を規制する法律は大きく分けて3つあり、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」「簡易宿所営業(旅館業法)」「特区民泊」があります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)

3つの中で最もハードルが低く始めやすいと言われているのが「住宅宿泊事業法(民泊新法)」となります。
他の2つは許可や認定をもらうための審査を受けなければなりませんが、民泊新法では基本的に「届出」で受理されればOKなため、営業をスタートするまでの時間を短縮することが可能です。
※ただし、自治体によっては審査のように厳しくチェックされるところもあるため注意。
民泊新法で必要とされている設備は「キッチン、トイレ、風呂、洗面所」の4つで、一般的な住宅に備わっている設備で事足ります。
また、用途変更をしなくても一戸建て住宅や共同住宅のままで営業が出来るため、それに付随した手続きや工事は必要ありません。
一方で、年間で営業できる日数の上限が180日と定められている点がデメリットと言えます。
180日ということはおよを半年しか営業できないということですから、本格的にビジネスを考えている場合には「旅館業法」や「特区民泊」での運営をしなければなりません。

簡易宿所営業(旅館業法)

こちらは元々ホテルや旅館に対する法律であるため要件が厳しいのですが、平成30年6月に法改正があり民泊でも少し使いやすくなりました。
「旅館・ホテル営業」と「簡易宿所営業」に分けられ要件が異なり、物件の構造や設備によってどちらになるか選びます。
民泊新法と違って365日営業することが出来ますが、用途地域や建築基準法、地域条例によって旅館業法の許可が取れない場所があるため注意が必要です。
内装や設備など工事を行ってから実は許可が取れない場所だった、ということになってしまっては大きな損害が発生してしまいますから、事前の調査を忘れないようにして下さい。
他にもフロントのスタッフの常駐や用途変更が必要などのルールがあります。

特区民泊

特区民泊は「国家戦略特区」に指定された地域のみが対象とされる制度で、その内容は「サービスを提供する対象が外国人旅行者であれば旅館業法の適用が除外される」というものです。東京都大田区、大阪府大阪市などが指定されています。
フロントの常駐や用途変更が不要となりますが、1グループあたり最低3日(2泊)滞在させなければならないという縛りがある点に注意しましょう。

民泊へ改築する際の注意点

最後に、民泊へ改築する際に注意しておきたい点をお伝えします。

消防設備

民泊を行う物件は、すべて特定防火対象物として扱われます。
そのため、一般の住宅よりも高性能な消防設備の設置をしなければなりません。
改築の際、リノベーション会社や建築士と相談し消防設備や防火設備を考えた設計を行いましょう。

近隣への対策

特に住宅地で民泊を営業する場合、騒音やゴミなど近隣の住民に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
営業を続けるためにはこのようなトラブルを事前に防ぐよう十分な配慮と対策が必要となります。
事前に営業する内容について地域住民の方に説明し、理解を得られるよう努めましょう。