古民家再生宿の街をあげた取り組みについて紹介
古民家再生宿の街をあげた取り組みについて紹介
2023.09.26
近年、古民家を再生したカフェやレストラン、雑貨屋、宿などが増えていますよね。
皆さんが暮らしている地域や旅行先等で一度は見かけたことがある方、あるいは実際に利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
特に地域活性化や新たなまちづくりとして古民家再生の宿をオープンし、国内外からの観光客を呼び込むために積極的な取り組みを行う自治体も多くあります。
そこで今回の記事では、そんな古民家再生の宿泊施設の取り組みの概要やメリットについて解説してまいります。
古民家再生宿の取り組みは旅館業法の改正により広がった
宿泊施設というとホテル・旅館・簡易宿所・下宿の4種類に分かれており、それぞれに客室数や寝具、構造、設備等に異なる規定がされています。
しかし2018年に旅館業法が改正されたことにより、ホテルと旅館の種別が統合され1つになりました。
1室でも客室があれば営業可能、使用する寝具はベッドでも布団でも可、その他さまざまなルールに関して緩和され、ホテル・旅館としての営業のハードルは大幅に下がったと言えます。
また、緩和された要件の中には「一棟の建物に限られずいくつかの棟に分散していても営業が可能」というものもあり、これによりフロントやレストラン、宿泊する部屋などそれぞれの目的に合わせた専用の建物が街の中に点在し、まるで街全体を宿(ホテル)のように見立てた所謂”分散型ホテル”の営業も可能となり、これにより空き家や空き店舗をリノベーションして宿の一部として活用し、同じエリアにある地元のお店で食事、入浴、買い物をしてもらう機会も増やし結果的に地域の活性化につなげる取り組みを行う地域が増えてきたのです。
古民家再生宿のメリット
古民家を再生し宿として活用することのメリットはたくさんあります。
まずは空き家問題の解消です。
日本では少子高齢化が加速し、全国で空き家の存在が大きな社会問題となっています。
現在、約850万軒の空き家があると言われており、これは今後ますます増えていくと予想されています。
空き家となった古民家の中には、文化や歴史として価値の高い町家や蔵などの建築物も多くあるのですが、管理する人がいなければ解体するしかなく、空き家としての問題が減る一方で日本の文化や建築技術、そして古民家のある町並みが、ある意味その地域の豊かな魅力の一つとなっている場合はそれ等も一緒に失われてしまう、という問題もあるのです。
しかし宿として空き家が活用されることで、リノベーションや改修が行われても築の古い雰囲気や建築の基礎の部分などはそのままに、現代と合わせた新しい魅力を持って解体せずに空き家問題を解消できるというのは大きなメリットです。
また、それにより雇用が増え、観光客を呼び込むことで周辺の店舗や施設にも客を循環させることも可能となります。
観光客にとっても古民家によって古き良き日本のスタイルがたっぷり残る雰囲気の中で、のんびりと過ごし旬の野菜や地物をいただく旅は最高の贅沢ですよね。
古民家再生宿の課題
以上のように古民家を再生し宿として活用することはさまざまなメリットがありますが、課題としてはやはりその土地の環境や気候にもよりますが、シーズンによって客の変動があること、それと古民家宿は和を感じる美しい空間を体験できるというコンセプトから外国からの観光客に高い人気があるため、英語など外国語での案内や情報の発信も必要となりますし、宿だけでなくそこで暮らす地域住民や商店街なども含めて外国人観光客の受け入れに対し協力してもらうことも重要となってくるでしょう。
まとめ
古民家再生宿は旅館業法の改正によりその門戸は大きく開かれ、地域の活性やまちづくりとして街をあげて取り組むケースも増えています。
また、古民家を使った宿には空き家問題の解消という日本が抱える大きな社会問題を解決するという大きな役割も担っています。
シーズンごとの客の増減や、観光客、外国からのお客様に対する対応など対策が必要な問題もありますが、地域全体で盛り上げ楽しめるために協力体制を整えることで、収益を増やすだけでなく観光客と地元住民との交流や出会いにより多くのことを感じ、新たな魅力やスポット、グルメ、土地の食材を発見、発信していく等さまざまなチャンスや楽しみが広がる可能性を秘めていると言えるでしょう。