日本を華やかにした「看板建築」とは?その特徴と現在
日本を華やかにした「看板建築」とは?その特徴と現在
2023.11.07
看板建築とは?
「看板建築」という言葉をご存知でしょうか?
看板建築とは、建物の正面(ファサード)の部分を銅板やモルタル、タイル等の火に燃えにくい素材で装飾した造りの建物で、建物自体はまるで1枚の看板のように平らに立ち上がったデザインであることから、看板建築と呼ばれるようになりました。
これは大正12年に発生した関東大震災で多くの住居や店舗が崩壊し、その復興時に都市部で商店を建てる際に流行した建築様式です。
復興の頃というと木造の他に鉄筋コンクリートの建物も増えてきた時代ですが、震災により暗くなってしまった街を華やかにし、少しでも明るく元気になれるようにとの想いから看板建築は生まれたのではないでしょうか。
現在でも東京の神田、神保町や秋葉原の一部のエリアに多く残っており、昭和の香りを色濃く感じるノスタルジックな街並みを演出しています。
看板建築の特徴
看板建築の特徴として主に以下の5つの要素が上げられます。
1.建物は木造建築であり、正面が平坦である
2.建物の正面は銅板やモルタル、タイルで仕上げている
3.建物の正面の装飾が華やかである
4.間口が狭く奥行きがある
5.腰折れ屋根が用いられていることが多い
「看板建築」をネットで検索すると多くの外観を撮影した写真を見ることができ、いずれも上記の特徴を持った建物であることが分かるかと思います。
建築家が意匠を凝らしたその細かなデザインは、レトロかつモダンでおしゃれなであり、今でも多くの人が看板建築を探しに街を訪れます。
現在も受け継がれる看板建築
以上のように看板建築とは、震災の後の大正の終わりから昭和の初め頃までにたくさん建築されてきましたが、時代の経過により閉店する商店が増え、再開発などの土地計画によりその数も減少していきました。
しかし一方で、昨今のレトロブームもあり新たに看板建築を行う事例も増えているそうです。
現代の看板建築では、主にアルミ複合版を使用し文字やデザインをプリントしたシートを貼り付けて設置する方法もあり、店を開業する際のコスト削減としてDIYで行うケースもあるようです。
まとめ
看板建築とは、関東大震災をきっかけに復興を願った想いから誕生した建築物であり、その独特なデザインは当時の日本をうつした懐かしい雰囲気がありながら、レトロ好きにもたまらない外観となっています。
中には看板建築を集めた写真集やサイトのページ等もあり、人気のコンテンツの一つとして様々なメディアで情報が発信されることもあります。
今もなお残っている看板建築は、建物の老朽化や空き家となっているものも多いため、今後減り続けることが予想されますが、日本の歴史と文化を継承し保全するためにも何らかの形で再生し利用していけることを願います。