古民家は地震に弱い?古民家再生に重要な耐震性について
古民家は地震に弱い?古民家再生に重要な耐震性について
2023.10.18
古民家再生に重要なものの一つ、耐震性。
地震大国である日本において古民家を含めた築年数の古い建物の耐震性はやはり不安の種となります。
そこで今回の記事では、古民家の耐震性の状況と対策について解説してまいります。
どうぞ最後までご覧ください。
古民家の耐震性
新築の戸建てやマンション等の住宅が出来ると最近は「耐震等級」を売りに販売されているのを目にしたことがある方も多いかと思います。
日本はいわずもがな地震の多い国。今後もいつどこで大震災が発生するか分かりません。
1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに2000年に建築基準法が改正され、耐震診断や改修、リフォームが進んでいます。
そんな中、古い木造である古民家は耐震診断をしても現在の耐震基準にはまったく適合しない建築物であることは事実。震災時には倒壊など被害を受けた古民家の映像がテレビに映し出されているため、これからこのような古民家に暮らそうと思っている方にとっては非常に心配な要素でしょう。
古民家は所謂「伝統構法」と呼ばれる高い建築技術を用いた木材の組み方をされており、石の土台の上に建っていることが多いのですが、やはり現代の工法のようにコンクリートや金物で固め固定しているわけではないため、耐震基準には適合しません。
ただ、地震にまったく歯が立たない作りであれば、恐らく既にほとんどの古民家が倒壊しているはず。それが今も多く残っている理由として、古民家は耐震性はないものの「免震」「制震」性があることがあげられます。
大きな揺れがあることで瓦屋根で浮きを押さえ、更に大きくなると瓦が落ち壁が崩れ、柱が曲がることで揺れを吸収し、免震効果を生むという性質を持っているのです。
つまり、古民家は耐震診断では耐震性0ですが、地震には強いと言えるのです。
古民家再生における耐震補強
以上のように古民家には性質としてあらかじめ制震、免震構造ではあるもののやはり安心して暮らしていくためには耐震補強が必要となるでしょう。
とはいえ、コンクリートや金物を使って耐震性をアップする方法は高額な費用がかかる他、古民家ならではの構造や雰囲気は失われてしまいます。
そこで、古民家再生で耐震補強を行う際は”制震ダンパー”を活用することがおすすめです。
制震ダンパーは設置に対する制限が緩く広い空間や間取りにも対応が可能なため、古民家といった特殊な構造にも使用することができ、古民家の古き良き状態を残しながら制震性を強化できるというメリットがあり実際に採用された事例も多くあります。
耐震化より費用も抑えられますし、基礎と土台、地盤の補強と安定、柱は筋交いで補強、耐力壁の設置、屋根を重い瓦屋根から鉄板などに軽量化、柱や壁の腐食や劣化を診断し新しい木材に取り替えるといった工事を実施し対策することで更に地震に強い構造に変えることが出来ます。
古民家の耐震補強にかかる費用と補助金
全体の耐震補強工事にかかる費用の相場は、築年数や床面積、リノベーションの内容により違いますが一般的に150万円前後と言われています。築年数が古くなれば古くなるほど費用は高くなります。
耐震診断を受けて結果を確認し、専門の知識を持った工務店などと検証・相談しながら施工が必要となりますが、金物の取り付けや壁の筋交など部分的に工事することも可能で、その場合はおおよそ30万前後、屋根の施工なら100万~150万円が目安となります。
また、耐震補強工事には補助金や助成金、融資、税の優遇など様々な制度が設けられています。
情報を収集し、条件にあう制度があればぜひ活用してみて下さい。
まとめ
古民家再生において耐震性はしっかりと考えたい課題の一つです。
古民家は免震構造であり地震に弱いとは言えませんが、現在の法律に適合する構造ではなく地震に耐える力を補強する工事は必要となります。
古民家は伝統的な建築物として地域の魅力として発信する役割を担っている自治体もありますし、民家や店舗として再生し利用を続けることは日本の伝統文化を守るということにもつながります。
技術力の高い古民家の性能を耐震強化で更に高め、古民家を再生していきましょう。