新築でも人気の塗り壁!特徴やメリット・デメリット、施工手順や業者選びのポイントも解説します
新築でも人気の塗り壁!特徴やメリット・デメリット、施工手順や業者選びのポイントも解説します
2024.05.01
塗り壁は古民家など昔ながらの住宅に使われていますが、最近は新築でも塗り壁を希望する人が増えています。
というのも「和」のイメージの強い塗り壁は、「和の雰囲気が好き」「和風の家を建てたい」という方からの支持はもちろんのこと、塗り壁ならではのさまざまな効果や味、魅力があることで現在また見直され始めているのです。
とはいえ、本当に塗り壁にしても良いのか心配な方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回の記事では、塗り壁の種類や特徴などの概要、新築でもあえて塗り壁にするメリット、施工の方法や費用について解説します。
ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
主な塗り壁の種類と特徴
塗り壁は日本で古くから用いられてきた伝統的な工法で、さまざまなタイプのものがあります。
以下は主な塗り壁の種類です。それぞれの特徴と合わせて紹介します。
土壁
塗り壁の中で最も使われているのが土壁です。
土に藁などを混ぜて材料が作られますが、混ぜ具合などを変えることで色々な質感を出すことが可能となります。
また、時間の経過によって壁の強度が強くなるという点も人気のポイントで、蓄熱性や防音性、調湿機能にも優れています。
漆喰壁
漆喰は消石灰に糊、繊維を加えて作られます。
滑らかで美しい光沢のある独特な質感が出るため高級感を感じられ、現在でも非常に人気が高く料亭や高級旅館にもよく採用されています。
使われている消石灰には空気中の二酸化炭素を吸収して乾燥を防ぎ、カビを防止する効果もあるため、昔は蔵にもよく使われていました。
砂壁
古い住まいでよく見かける砂壁は、砂を糊で練ったものを仕上げに塗った壁です。
使用する砂の種類によって質感を変えることができ、和室や茶室等の室内の壁に使われます。
触ったり経年によってポロポロと砂が落ちてくることがネックですが、和のデザインとの相性が良く湿度の調節や防火性・耐火性が高いため、今でも人気があります。
珪藻土壁
珪藻土は最近、バスマットやコースター、調味料入れなどの日用品としてもよく使われているためご存知の方も多いのではないでしょうか。
珪藻土はプランクトンの死骸が堆積してできる物質で出来ており、耐熱性や耐久性が強い特性を持っています。
また、漆喰と同じで吸放湿性に優れカビの発生を防いでくれるため、塗り壁としても人気があるのです。
珪藻土壁はそのままだと滑らかさが出ないため、他の素材を混ぜて希望の風合いに変えることが出来るという点も”オリジナルの壁づくりを楽しめる”ということで人気の理由になっています。
新築でもあえて塗り壁にするメリット
一般的に建物の外壁材を仕上げる方法には塗り壁とサイディングの2種類があります。
サイディングとは金属や窯業系のパネルを外壁に貼り付けていく施工です。
しかり本サイトでおすすめする塗り壁にはさまざまなメリットがあるのです。
詳しく説明していきましょう。
日本の環境に適している
日本は高温多湿な気候です。
そして上記の特徴でも挙げたように、塗り壁には快適な湿度を保つための調湿機能があることから、日本の環境に非常に適しているのです。
また、断熱性にも優れているため夏の日差しを遮断して室内を涼しく保ち、また冬場は室内の温かさを外に逃がさない働きをするため、省エネにも役立ちます。
家を新築しても塗り壁を取り入れることで、生活しやすい家づくりにつながるという点は大きなメリットでしょう。
優れた防火性
塗り壁の下地には燃えにくい素材であるセメントや砂等で作られたモルタルを使用します。
更に仕上げに使用する土等の自然な天然の素材もまた、燃えにくい素材なため防火性に優れています。
日本の戸建ては燃えやすい木造で建築されることが多いため、この塗り壁を活用することで防火性を高めることが出来るというメリットがあります。
体への安全性が高い素材
現代の建築物の多くには化学物質が使用されており、シックハウス症候群等のアレルギーを引き起こす原因になったりアトピーを悪化させる可能性があります。
一方、塗り壁はほぼ自然素材で作られるため化学物質は使いません。
そのため体に優しく、これらの症状に悩んでいる人や赤ちゃんやお年寄りがいる家族が安心して暮らせるよう選ばれることも多くあります。
個性ある高いデザイン性
塗り壁は混ぜる素材の組み合わせや混ぜる加減を変えることで異なる仕上がりを作れること、また、コテや刷毛で自由に模様をつけられるためアイデア次第で無限にオリジナルのデザインを作り出せます。
そしてカラーバリエーションが豊富で、白や黒などモノトーンのシンプルでモダンなデザインの外観に仕上げたり、パステル調や温かみのある色を選んだりと好みの印象に変えやすく、色や模様で自分だけの理想の壁を実現できるということは、こだわりを持って家を新築する上で大きなメリットとなります。
新築を塗り壁にするデメリット
実際に施工を始めた後で「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、事前にいくつかのデメリットを知り対策をとっておきましょう。
工期が長い
塗り壁はすべて手作業で行うため工期が長くなります。
また、人件費や材料の価格が高く工事費用も壁紙やタイル等と比べ高くなってしまう点がデメリットです。
汚れが目立ちやすい
塗り壁は表面に凹凸が出来るため汚れや雨水が溜まりやすく、手入れをしないとカビを発生させてしまうことがあります。
また、サイディングと比較してひび割れしやすいという特徴もあります。
職人の腕によって差が出る
左官は高い技術を要するため、職人の腕によって仕上がりの品質、耐久性に差が大きく異なります。
また、実績があり技術力が高くても求めているデザインになるとは限りません。
職人の感性や得意なデザインに違いはあるので、事前に打ち合わせや希望、相談をしっかり行い内容を確認、納得した上で依頼するように気を付けましょう。
塗り壁の施工手順
次に塗り壁の基本的な施工手順について説明します。
1.塗り壁の対象となる堀や土留めなどを組み立てる
堀に埋め込むガラスブロックや電気の配線などは塗る前に組み込みます。
表札や角柱は塗装した後に設置します。
2.下地材の塗り付け
下地の塗り付けは塗り壁が美しく仕上がるための大切な工程です。
塗り面が厚くなると強度が増し、ひび割れにも強くなります。
ただし、塗る面積が少ない場合は省略されることもあります。
3.表面を仕上げる
仕上げの塗料を表面に1~2回塗り付け、最後にコテや刷毛、ローラーで模様をつけて完成です。
ジョリパットは乾くまで半日以上かかるため、工事は基本的に2日以上はかかります。
塗り壁のメンテナンス
塗り壁は表面の凹凸により汚れがつきやすく、特に外壁は雨風にさらされて汚れが目立ちますので定期的なお手入れが必要となります。
基本的には水洗いや専用の洗浄剤を使用して、スポンジやハケで掃除をします。この時、高圧洗浄機を使ったり強くこすり過ぎたりすると壁を傷めてしまうため注意して下さい。
また、ちょっとした傷やひび割れが生じている部分がある場合は、ホームセンター等で同じ仕上げ材を購入し、自分で塗り込んで補修することも可能です。
最初の施工から長く時間が経過すると壁の状態は見た目にも劣化や傷みが目立ってくるため、おおよそ10年を経過する頃には塗り替えも視野に入れると良いです。
戸建て1軒分の外壁のメンテナンスには約80~150万円程の費用がかかりますので、予算を立てておくことも重要です。
新築で塗り壁工事を依頼する時のコツ
塗り壁は工務店やハウスメーカー、リフォーム業者などに依頼することになりますが、その際の選び方のコツや注意点について紹介します。
複数の会社から比較しよう
複数の業者から見積もりをもらい、価格やサービスの内容を比較しましょう。
その際、相見積もりであることを伝えておくと価格競争を起こすことが出来る可能性があります。
また、施工内容や予算、希望の納期といった条件は統一して見積もりをとり、内訳の項目もしっかり確認し検討しましょう。
過去の実績や経験の確認
実際にこれまでどんなデザインの塗り壁を施工してきたのか、過去の事例・実例の写真や資料を見せてもらい確認しましょう。
ホームページに掲載されていることも多いですが、なければ直接問合せて見せてもらうことをおすすめします。
相談や打ち合わせは念入りに
模様や色などのデザインは細かく念入りに打ち合わせをしましょう。
その時に丁寧に説明や対応をしてくれる業者を選ぶことをおすすめします。
なお、サンプル表で確認する際はそれが壁全体に塗装された時と若干色の印象が異なる場合があります。
仕上がりよりも少し暗めの色を選ぶことでイメージとの差異を少なくできますが、こちらも相談しアドバイスをもらいましょう。
まとめ
近年、塗り壁の持つ優れた性能や高いデザイン性が再び注目を集め、新築の家に採用されるケースが非常に増えています。
快適な暮らしやおしゃれな空間など、自分たちだけの家づくりに塗り壁は欠かせない存在とも言えるでしょう。
数あるバリエーションの中から、ぜひ好みの壁を造り出してください。
とはいえ塗り壁はすべて手仕事であり難しい工法です。そのために施工を依頼する業者選びは慎重に行うことが重要です。
信頼できる技術と希望のデザインを実現できる感性を持った職人さんのいる業者を選ぶようにしましょう。