家を解体する前にやるべきことは?必要な手続きや後悔しないために知っておきたいことを解説
家を解体する前にやるべきことは?必要な手続きや後悔しないために知っておきたいことを解説
2024.04.08
相続したものの空き家となった実家や所有している古民家等、家を解体する前に準備しなければならないことや必要な手続きは意外と多くあります。
何をしたら良いのか理解しないまま施工を開始してしまうと後で後悔したりスムーズに施工が進まない可能性がありますので、施主様が事前に知識を得て準備を整えておくことが大切です。
そこで今回の記事では、家を解体する前に知っておきたいやるべきこと、失敗しないためのポイントをまとめて解説いたします。
どうぞ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
家を解体する前の準備
家の解体は大きな工事ですから、それだけ多くの人、時間、労力、費用がかかります。
計画通りスムーズに進めるためにはしっかり準備をしておきたいもの。
以下は家を解体する前に準備しておきたい主な項目になります。
業者選び
家の解体で最も重要とも言えるのが、解体工事を任せる業者選びです。
数ある解体業者の中からどのように探すべきか、選び方が分からないという声もよく耳にします。
業者によって価格も違いますし、使用する機材や作業の進め方、近隣の方々への配慮の方法も異なるため、選ぶ基準が分かりませんよね。
スケジュールに余裕がなくよく調べずに契約をしてしまうと、思わぬトラブルが発生したり予算をオーバーしてしまう可能性があり、安心、信頼できる業者を選ぶためにはまず、
・解体業者として許認可を得ていること
・損害賠償保険に加入していること
・産業廃棄物等の取扱いについてマニフェストを発行していること
・実績や経験が豊富であること
・電話やメールで問合せした際の対応が丁寧で迅速に返答をくれること
・利用者からの口コミが良いこと
上記のことをできるだけホームページや情報サイトを検索して確認し、問題がなさそうな業者を複数ピックアップして現地調査を行ってもらった上で見積もりの作成を依頼しましょう。
そして提出された見積りの内容をチェックして不明や疑問な点があれば必ず伝え、質問し、丁寧に説明をしてくれるか、支払いについても明確かどうかを更に確認します。
また、解体工事において防音や防塵、防振などの対策、カーポートやフェンス、庭木等、解体の範囲、残置物の有無、建物を解体した後の土地の整地、費用の交渉など必要に応じ相談し、その対応についても加味して検討し、依頼する業者を選定しましょう。
補助金、助成金
自治体によっては家の解体にかかる費用に対し、補助金や助成金の制度を設けているところがあります。
例えば東京都の練馬区では、住宅除去補助制度として耐震性の低い住宅を解体する場合に工事費用の3分の1(上限20万円)を補助したり、火災の被害が大きくなると想定される地域の古い建物を解体し、燃えにくい建物を建て直す際に最大で300万円を補助する建築物不燃化推進事業補助、そしてアスベストを含有する建材を使用した建物の解体にかかる工事費用の3分の2(上限300万円)を補助する民間建築物吹き付けアスベスト対策事業補助金を設置しています。
お住まいの自治体の制度を確認し、申請の締め切りや審査期間、支給時期等に注意して費用の負担軽減のために活用することをおすすめします。
申請、手続き
家を解体する前には、さまざまな書類の用意や手続き、連絡、許可申請が必要になります。
例えば、着工する7日前までには「建設リサイクル法に基づく解体工事届」の提出が義務付けられています。
解体する建物の床面積や解体工事の費用によって都道府県へ提出しなければならず、違反すると10万~50万円の罰金が課される可能性があります。
また、工事の際に道路を使用する場合には、管轄の警察署に「道路使用許可・道路占用許可」の申請を提出します。申請しないと罰金や罰則、最悪、懲役の罪に課される恐れがあります。
他にも、平成18年以前に建てられた家を解体する場合はアスベスト(石綿)が使用されているケースがあり、その場合は「特定粉じん排出等作業の実施届出」が求められ、近隣住民への周知や飛散を防止する対策、特殊な施工が必要です。
行政への申請の他にも、電気やガス、水道、インターネット、ケーブルテレビ、浄化槽といったライフラインの会社へ停止や撤去の連絡も忘れずに行いましょう。
また、これは解体工事終了後の手続きにはなりますが、建物を解体した旨の「建物滅失登記」の準備も進めておきます。
届出を怠ると最大で10万円の罰金や固定資産税がかかることもあり、支払うお金が増えてしまいます。手続きは委任状が必要になりますが土地家屋調査士に委託することも可能です。
残置物
解体工事を行う中で施主様の大きな負担となるのが残置物の処分でしょう。
残置物とは、解体する時に家屋内に残されている家具や不用品のことを言います。
解体時に一緒に処分することも出来ますが、その場合産業廃棄物扱いとなるため高い処理費用がかかります。
負担を減らすにはやはり家を解体する前に自分で処分することです。
大型家具、エアコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機といった家電等の場合は解体業者に相談すれば引き受けてくれることもあります。それ以外に関しては、市区町村の指定業者に依頼したり、不用品回収業者を利用する方法もあります。
建物の権利
家を解体する前に、必ず建物の名義人、相続人、抵当権の有無を確認しましょう。
長年住んでいても、実は名義人が違ったという事例もあります。
念のため法務局で最新の土地建物の登記簿を取得して確認し、法的に解体を実施しても問題ないか調べておきましょう。
近隣説明会
解体する家の周辺に住民が多い場合、取り壊しに関連することで迷惑をかけてしまう可能性もありますので、家を解体する前に「近隣説明会」という形で住民への周知を行うことでトラブルを防ぐことにもつながります。自治体によっては条例で義務付けているケースもあります。
家の解体にかかる費用の相場
次に気になる家の解体に一体いくらかかるのか?という点ですが、相場を紹介してまいります。あくまで目安として参考にして下さい。
家の解体費用は構造や建物の場所によっても異なり、木造なら約4~5万円/坪、鉄骨造なら約6~7万円/坪、RC(鉄筋コンクリート造)は約6~8万円/坪が目安となります。
意外かと思われますが、同じ坪数であれば2階建ての建物の方が平屋と比較して安い傾向にあります。
他に特殊な重機や埋め立てといった作業が必要となる解体工事の場合は大幅に費用が高くなります。
アスベストの撤去が追加される場合は2万~9万円/㎡。外構の撤去は樹木なら1本1万~5万円、ブロック塀は2~3千円/㎡、浄化槽の撤去は5万~10万円が目安ですが、具体的な費用については必ず見積を取るようにして下さい。
家を解体する前に知っておきたいデメリット
日本は家を建てても建物の価値はすぐに下がってしまうため、売却する場合は土地の値段(土地値)で売買されます。
その際、物件付き土地として売ることもできますが、建物の建て替えを目的に購入を検討している買い手としては解体する手間があるため、更地として売られている土地の方が早い段階で売却が可能となる可能性があります。
しかし一方で、更地で売るからといって建物解体にかかった金額をそのまま売却代金に上乗せできるという訳ではありません。
古家付きだろうと更地であろうと売却は土地値になりますから、解体費用の多くは家の持ち主の負担となってしまいます。
また、更地にすると固定資産税が高くなることも注意点です。
更地にしてから売却が完了するまでに時間がかかってしまうと税金の負担が大きくなることもデメリットと言えます。
そのため、節税や少しでも支払いを安く抑えるためには、解体と売却のタイミングをよく見極めることが重要です。
これらのリスクを踏まえた上で家の解体をするかどうか決めましょう。
家の解体工事の手順
家を解体する前に、解体工事がどのように行われるのか全体の流れを知っておくことも大切です。
<家屋解体工事の一般的な流れ>
1.足場の確保と養生
2.家屋の内部から解体を始める
3.重機の搬入
4.建物の本体、瓦を解体
5.廃材の分別
6.廃材の搬出
7.基礎、地中にある障害物の撤去
8.整地
9.重機の搬出
このように、家の解体はただ建物を取り壊すだけでなくさまざまな作業が必要であり、期間は長くかかるケースも少なくありません。
そのため、十分にスケジュールの余裕を持って工事をお願いすることをおすすめします。
まとめ
以上のように、家を解体する前の準備として、業者探しのコツや自治体が設置している各種補助金、必要な申請手続き、残置物や権利の確認、近隣への説明等の知識を身に着けておくと、失敗を防ぎ余計な支出を抑え希望する最適な状態で家の解体を進めることが出来るでしょう。
また、解体にかかる費用や解体するにあたって考えられるそれぞれのデメリットについても事前に理解した上で計画することも大切です。
特に業者を選ぶ際には複数の専門業者から同じ条件で無料の見積書をもらい、費用の部分だけでなく上記で紹介したさまざまな要素を含め検討し、少しでも不安を感じる場合は避けるようにして下さい。
当サイトでは他にも古民家再生やリフォームに関連した役立つコラムを発信しておりますので、どうぞ合わせてご覧いただければと思います。