古民家の梁の役割と意外なメリットとは?
古民家の梁の役割と意外なメリットとは?
2024.01.05
空き家となった古民家の購入、あるいは実家の古民家を受け継ぎ再生をする際リノベーションを検討されると思いますが、その時に天井の「梁(はり)」をどう処理するか悩まれる方は多くいらっしゃいます。
梁は古民家など日本の築年数の古い建物の象徴とも言えるようなものですが、リノベーションの際にはそもそも梁とは何なのか、その役割などの知識を持っておく必要があります。
そこで今回の記事では古民家の梁の役割やメリット・デメリット等の概要を解説します。どうぞ最後までご覧いただき参考にしていただければと思います。
古民家の梁は建物を守る重要な役割がある
梁は建築物には欠かすことの出来ない重要な部材の一つです。
具体的には棟木と垂直になるよう柱と柱の間に設置し柱を固定して屋根を支えることで、重量や地震、強風といった外の力から建物が倒れないよう守る重要な役割があります。
古民家には「曲がり梁」と言って弓のように大きく曲がった形の梁を見かけることが多いです。
これはただデザインとして見た目の美しさを表しているだけでなく、曲がっている木材を上にすることで強度が増し、建物のバランスを保つために考えられているのです。
梁と柱の違いは建物を支える方向
建物を水平に支える梁に対し、垂直に支えるのが柱です。
梁は上からの圧力に抵抗でき、柱は地震の横揺れや台風の時の横からの圧力に抵抗できるため、この二つは安全に建物が維持できるよう欠かすことの出来ない重要な構造材となります。
「大黒柱」という言葉もあるように古民家では大きな柱が目立ちますが、柱の数や位置によって部屋の間取りや広さに制限がかかるため、今は住宅を建てる際に強度を保ったまま柱の本数を減らす工法が主に使われています。
古民家の梁を残すメリットと意外な活用方法
古民家のリノベーションでは、梁をそのまま活用する方が古民家の雰囲気を残し畳のある和室にはインテリアのアクセントになったり施工の費用や期間を抑えることが可能ですが、それだけでなくさまざまなメリットが得られます。
例えば、天井の板がない分高さが出るため、空間が広がり開放感が生まれます。更に天井と壁の色を合わせることで更に広く見える効果があります。
また、古民家は照明をつけても全体に暗い印象があるケースが多いのですが、梁を見せて天井の近くに窓をつけたり吹き抜けにする、縁側を建具ではなく梁と柱で仕切る等といった方法は室内へ光が差し込み、明るさも確保できるためおすすめです。
また、キッチンでは調理器具などを吊るしたり、リビングや寝室ではインテリアの装飾として利用することも出来るため、場所によって使い道の可能性や楽しみが広がることもポイントです。
梁を残すデメリットと対策
一方で梁を残すことでいくつかのデメリットもありますので紹介します。
まず、メリットでもある高い天井を保ち空間が広がる分、空調が効きづらくなるという点があげられます。
古民家は風通しが良いため空調が効きづらくとも夏は快適に過ごしやすいのですが、反対に冬は寒く感じることが多いでしょう。
天井にシーリングファンを設置する、サーキュレーターを使うといった対策を行うことがおすすめですが、根本的な解決にはやはり暮らす前に断熱性を高める施工を行っておくことが大切です。
また、埃が溜まりやすくなるため、定期的にモップ等を使って掃除をする手間がかかることもデメリットと言えるかも知れません。
埃が溜まることを防ぐためには、天井と梁をくっつけるか間隔を狭くするという方法があります。
まとめ
以上のように、日本の長い歴史の中で培った高い技術が息づく古民家の梁には建物を支えるための大きな役割があるとともに、リノベーションで残すことでさまざまなメリットも得られます。
空調や埃といったデメリットもありますが、それぞれ解決するための対策を施せば大きな問題にはなりません。
とはいえ、実際に日本では古民家を含めた空き家が問題となっており、せっかくの貴重な建築物が解体の危機に迫られています。
古民家はリノベーションやリフォームが面倒というイメージがあるかと思いますが、古民家のリノベーション事例を多く扱っている工務店などの信頼できる会社に相談することで、水回りなどを含めた施工の流れや悩みを解決するための提案や情報の提供を受けて分かりやすくスムーズに進めることが可能です。
ぜひ一度お問合せ下さいませ。