古民家の移築とは?メリットやデメリット、費用や流れを解説
古民家の移築とは?メリットやデメリット、費用や流れを解説
2024.01.10
「空き家になっている実家の古民家を移築したいけれど何をどうしたら良いんだろう?」「そもそも移築って何?」
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいますか?
今回の記事では、移築の概要や古民家を移築するメリット・デメリット、方法、費用などの情報について解説してまいります。
どうぞ最後までご覧いただき参考にしていただければと思います。
移築とは
「移築(いちく)」とは簡単に言うと”住宅を一度解体し別の場所に移動させて再生させること”で、「移築再生」とも呼ばれます。
例えば古民家をそのまま移動して再利用したい、敷地を有効活用したい、家はそのままに住む地域を変えたい、日当たりを良くしたい、土地区画整理などで移動を余儀なくされた・・・等の理由により行われます。
住み慣れた家を住みたい場所へ移動させられたらなぁと想像したことがある人もいらっしゃると思いますが、意外とそれは不可能なことではないのです。
ただし、どんな建物でも移築が出来るわけではなく、「木組み」という釘を使用していない日本の伝統的な工法を使っている建物のみが移築を可能とします。
古民家はまさに木組みの技術を用いているため、移築に適した建物なのです。
古民家を移築するメリット
古民家を移築すると新築で家を建てるよりもかなり費用を抑えることが出来ます。中には半分の費用で済むケースも少なくないでしょう。
また、解体した時に再利用できる建材や古材を使用するため廃材が減り、環境に優しいというメリットもあります。
他にも土地の有効利用が出来たり、固定資産税を安くするといったことも可能となることもあります。
古民家を移築するデメリット
次に古民家を移築することで考えられるデメリットも紹介しておきましょう。
まずは先述した通り移築は釘や金属が使用されていない木造の建物に限り復元することが可能であるため、移築したくても出来ない建物が多いということ。そして家を建てる費用は安く抑えられるものの解体については通常の解体費用に加えて必要な水回りの設備や耐震工事、建材の運搬などの費用が発生してしまいます。
また、特殊な方法で建築されている場合は対応できる職人が限られるため、職人を探す時間や依頼する費用が多くかかる可能性もあります。
移築を決める前にこれらの点をしっかりと踏まえ、納得した上で移築を進めましょう。
古民家の移築方法
古民家を移築する方法には大きく分けて3つあります。
・解体
古民家を一度解体して別の場所に移し、建て直す方法を解体移築と呼んでいます。
トラックで運べる程度の大きさにまで解体して材料を運搬するため、遠方に移築する場合はこの方法を選ぶことが多いです。
・吊り上げ
建物を解体せずにクレーンで吊り上げ移動させる方法もあります。
「解体しない」ということがポイントで、同じ敷地内で少しだけ移動させる場合に用いられます。
・曳家
曳家による移築というのは、レールや丸太を敷いてその上に建物を乗せて転がし移築する方法です。
吊り上げ移築と同様、建物を解体せずに移動させる方法ですが、クレーンを使わずに行うため建物を傷つけずに運ぶことが可能です。
こちらも同じ敷地内など短い距離の移築に限定された方法です。
古民家の移築再生の種類
古民家の移築再生には、完全再生と部分再生の2種類の方法があります。
元の建物の古材、建材、建具など使用できる部材のすべてを再利用して移築する完全移築再生では、廃棄物をあまり出さず新しい材料を買い足す必要がないので環境的にもコスト的にも優しい方法です。
部分再生は新築戸建てに近く、構造体である柱や梁といった古材のみを再利用して新しい建材と組み合わせる方法です。
古いものと新しいものをミックスさせることで新たな家として生まれ変わらせることが出来ます。
古民家の移築にはいくらかかる?
古民家の移築にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
移築には解体にかかる費用や工事費の他、現地調査や図面の作成など細かな費用もかかってきます。
・解体費用
解体移築の場合にかかってきます。解体費用の内訳は主に人件費や重機運搬費、樹木撤去費用、廃棄物処理費用などがあります。
建物の中にある家財や家電については処分する場合自己負担になりますし、必要な人手が増えればその分人件費がかさみます。
・工事費用
直接工事費は基礎工事や断熱工事、内外塗装工事、左官工事などが内訳になります。
古民家の場合はこの他に電気や水回り、屋根、建物の基礎を最新の設備に整える必要が出てくる場合が多くその分の費用が追加でかかってしまうため注意しましょう。
・図面作成費用
解体移築では再生するためにしっかりと図面を製作することが重要です。そのため、業者による図面作成費用がかかります。
・現地調査費用
移築には移築先の地盤や障害物など、現地調査も必要です。
たとえば少しに移動であっても、移築した後のトラブルを防止するためにもしっかりと目と手を使って確認することが重要です。
・運搬費用
解体移築では再利用する建材を運搬しなければなりません。
また、築年数の古い民家ですから建材が汚れていたり木が腐食している場合もあるため、利用できる建材の状態の選別や洗浄といった作業も必要となってきます。
古民家の移築の流れ
古民家を移築する際の大まかの流れについても紹介しておきます。
まず、実家や別荘など所有している古民家を移築する場合は設計に先立ち民家調査を行い、新たに探す場合は民家バンクや空き家バンク等のサービスや制度を使いながらサイトにアクセスして物件を探し、決まったら民家調査を依頼します。
次に具体的な基本計画を作成し、費用を見積もるために図面や仕様書など作成します。
希望をよく相談し、これなら快適な暮らしや店舗としての利用が出来ると納得した上で信頼できる会社(工務店)と契約を結びましょう。
なお、移築を行う場合は設計した内容や構造が法律に準拠しているかどうかを確認するための手続きも必須となります。
その後、解体移築を行う場合は建物を解体し、移動、組み立て、各種必要な工事を行い引き渡しとなります。