

書院造と数寄屋造りの違いとは?それぞれの特徴をわかりやすく解説
書院造と数寄屋造りの違いとは?それぞれの特徴をわかりやすく解説
2025.04.09
日本の建築は、平安時代から現在に至るまで、多くの造りや様式を生み出してきました。それぞれの建物には時代背景や暮らしの風、文化が色濃く表れており、その形や空間には日本人の美意識が凝縮されています。本記事では、そんな日本の代表的な建築様式である「書院造」と「数寄屋造」の違いについて、初心者にもわかりやすく、かつ深く理解できるように丁寧に解説します。これらの様式は、当時の社会的な役割や人々の価値観を反映しており、完成された意匠の中に、四季の景色や自然との調和が取り入れられています。特に「数寄屋造」は、風流を愛する人々の手で磨いてきた、自由で繊細な空間美の極みともいえるものです。ポイントを押さえれば、一般の方でもその魅力を日常生活に取り入れることができます。たとえば、床の間や障子などのディテールを取り入れることで、現代の住まいでも日本らしい「和」のイメージを演出できます。建築に詳しくない方でも、「そもそも書院造と数寄屋造とは何か?」「その違いはどこにあるのか?」といった基本にお答えしますので、ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
書院造の歴史と特徴
「書院造(しょいんづくり)」とは、室町時代以降に発展した、武士階級の邸宅に見られる格式高い建築様式です。もともと寝殿造の造りを発展させたもので、政治や儀式を行うための空間として設計されました。
書院とは、書を読むための書斎を意味し、床の間、違い棚、障子、天井などが設置された部屋が中心的な要素となります。特に「床の間」は、和歌や絵画などを飾り、客をもてなすための重要な空間です。
書院造の主な特徴一覧
- 格式のある対面式の間取り
- 床の間や違い棚の設置
- 障子や畳などの和風建材の使用
- 柱や梁に高価な木材を使用
- 天井が高く、広い空間
- 身分制度を反映した空間設計
この様式は安土桃山時代を経て、江戸時代には武家住宅の主流となりました。
数寄屋造りとは?|風流と茶の湯を反映した建築
数寄屋造りの歴史と背景
「数寄屋造り(すきやづくり)」は、茶の湯文化の隆盛とともに生まれた建築様式で、千利休をはじめとする茶人たちが自然との調和を重視して築いたものです。
「数寄屋」の語源は、「数寄(すき)=風流を好む」人が集う屋(や)という意味で、質素でありながら洗練された意匠が魅力です。主に茶室や小規模な住宅に採用され、簡素ながらも繊細なデザインが特徴です。
数寄屋造りの特徴
- 自然素材を活かした建材(竹や土壁など)
- 庭や借景との調和
- 空間をシンプルにまとめた間取り
- 開放的で自由な構造
- 床は畳中心、壁は白い土壁
- 柱は丸太や皮付きの木を使うことも
桂離宮や修学院離宮などが、数寄屋造の代表的な建物として知られています。
書院造と数寄屋造りの違い
項目 | 書院造 | 数寄屋造り |
発展時代 | 室町時代〜江戸時代 | 安土桃山時代以降 |
主な使用者 | 武士階級 | 茶人や風流を楽しむ人 |
空間設計 | 格式重視、上下関係を表現 | 自然との調和、自由な空間 |
主な素材 | 高価な木材、装飾性が高い | 土壁、竹、自然素材 |
主な特徴 | 床の間、障子、違い棚 | 茶室、借景、簡素な美 |
目的 | 政治的役割や接待 | 茶の湯や内面の充足 |
このように、書院造と数寄屋造りは目的もデザインもまったく異なります。書院造りが社会的身分や格式を建物に反映したのに対し、数寄屋造は自然との調和や風流を追求した様式といえるでしょう。
現代の暮らしに見る書院造・数寄屋造りの活用
現代では、両者の様式を取り入れた和風住宅や茶室付きの家が増えており、それぞれの魅力が見直されています。たとえば、床の間のある部屋は、現代でも客をもてなす場所として根強い人気があります。
また、数寄屋造りの要素は、コンパクトでシンプルな空間設計が好まれる現代のライフスタイルに合っており、自然素材を使った建材や柔らかい光を取り込む障子などは、癒しの空間としても注目されています。
代表的な建築物|書院造・数寄屋造り
書院造の代表建築
- 二条城 二の丸御殿(京都)
- 西本願寺 書院(京都)
数寄屋造りの代表建築
- 桂離宮(京都)
- 修学院離宮(京都)
- 御茶屋建築(京都や金沢)
これらは世界中の建築家にも影響を与え、和の意匠がいかに洗練されたものであるかを示す建物です。
書院造と数寄屋造り、どちらが向いている?
あなたの志向 | おすすめの様式 |
落ち着いた格式ある空間が好き | 書院造 |
自然と調和したシンプルな空間が好き | 数寄屋造り |
住宅を建てる際に、どちらの様式を選ぶかは人それぞれの好みや暮らし方に大きく左右されます。どちらも高い技術と日本の美学が詰まった建築であり、選び方ひとつで生活の質が大きく変化することでしょう。
まとめ:書院造と数寄屋造りの魅力を知って、住まいに活かそう
書院造と数寄屋造りは、日本の建築史の中でも特に重要な様式であり、それぞれに異なる意味と役割を持っています。格式を重んじるなら書院造、風流と自然を愛するなら数寄屋造り。その違いを知ることで、より深く日本の文化や建築に親しむことができます。
和風住宅を考えている方は、ぜひこれらの要素を間取りやデザインに取り入れて、自分だけの心地よい空間を作ってみてください。
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