寝殿造と書院造の違いとは?平安時代から現代までの建築様式の流れと特徴を知る - 古民家再生 丹保建設 富山県南砺市 金沢市

寝殿造と書院造の違いとは?平安時代から現代までの建築様式の流れと特徴を知る

寝殿造と書院造の違いとは?平安時代から現代までの建築様式の流れと特徴を知る

2025.06.11

日本の歴史的な建築様式には、それぞれの時代背景や社会構造、生活文化が色濃く反映されています。特に、平安時代からの「寝殿造(しんでんづくり)」と、室町時代以降に広まった「書院造(しょいんづくり)」は、日本の住宅建築における二大様式として知られています。本記事では、両者の違いや特徴を詳しく解説しながら、現在の和室建築にも通じる要素を紐解きます。

1. 寝殿造とは?|平安時代を代表する貴族住宅の様式

● 寝殿造の意味と背景

「寝殿造」とは、平安時代中期に成立した貴族階級の住宅様式を指します。文字通り、寝殿(建物の中心にある主屋)を軸に、複数の建物を廊下や渡殿で繋いだ構造が特徴です。格式が重んじられ、儀式や政務を行う場としても用いられました。

● 主な特徴と構造

  • 中心に大きな寝殿を建て、その左右に「対屋(たいのや)」を配した左右対称の構造。
  • 池を中心とした庭園と一体となるように設計され、自然との調和を重視。
  • 建物は板の間中心で、畳は部分的にのみ使用されていました。
  • 障子や襖のような仕切りは少なく、空間全体が開放的。
  • 「屏風」「帳(とばり)」などでプライバシーを保ちました。

このように、寝殿造は当時の貴族の身分や格式、日常生活を象徴する様式でした。

2. 書院造とは?|室町時代に登場した武家の住宅様式

● 書院造の意味と成立

「書院造」は、室町時代後期に登場し、主に武士や武家の住宅様式として発展しました。寝殿造に見られた開放的な構造から一転して、内向きかつ機能性を重視した構造へと変化します。やがて江戸時代には一般化し、現在の和室の原型ともなりました。

● 書院造の主な特徴

  • 部屋の中心には「床の間」「違い棚」「付書院(つけしょいん)」などが設けられ、格式と美意識が重視される。
  • 全面に畳を敷き詰めた「座敷」の形式が一般的。
  • 襖や障子などの可動式の壁で空間を自由に仕切り、生活の場としての使われ方が柔軟。
  • 書斎や堂などの部屋が機能ごとに設けられ、住宅全体が構造的に整理されている。
  • 銀閣寺(慈照寺)などの寺院や、二条城の二の丸御殿などに代表される。

このように、書院造は実用性と精神性を兼ね備えた様式であり、武士階級の生活と深く結びついています。

3. 寝殿造と書院造の違いを一覧で比較

比較項目 寝殿造 書院造
成立時代 平安時代 室町時代
主な使用者 貴族 武士
建物の中心 寝殿 座敷(書院)
間取り構造 開放的で広い 機能的で整理された部屋配置
畳の使用 一部のみ 全面敷き詰め
仕切り 屏風や帳 襖・障子・壁
庭との関係 自然と調和した池泉庭園 より内向きで整った庭園
主な象徴 儀式・格式 書斎・知性・秩序
現存建築 平等院、御所 銀閣寺、二条城

4. 建築様式の変化と現代への影響

● 鎌倉時代から江戸時代へ

鎌倉時代になると武家社会が台頭し、寝殿造のような開放的な住宅では防御や機能面で不便が多くなりました。そこで生まれたのが、より合理的な書院造。江戸時代には一般の武士や町人にも浸透し、和室文化の基盤となります。

● 現代建築との関連

現在の住宅や和室には、書院造の影響が色濃く見られます。床の間や違い棚、畳敷きの空間は、まさに書院造の象徴。形式としては残っていなくても、日本の住まいづくりに与えた影響は非常に大きなものがあります。

5. 寝殿造・書院造の魅力を楽しむには?

● 有名な建築を訪れてみよう

実際にこれらの様式を見て楽しむには、次のような登録文化財がおすすめです。

  • 【寝殿造】…京都御所、平等院
  • 【書院造】…慈照寺(銀閣寺)、二条城 二の丸御殿

● 建築様式の変遷を知る理由

こうした建築の歴史や流れを知ることで、日本の文化や階級社会、生活のあり方まで理解が深まります。単なる「様式のちがい」だけでなく、その背景にある意味や性質を知ることは、現代人にとっても貴重な情報です。

6. まとめ|寝殿造と書院造の違いを知ることで、今の日本住宅も見えてくる

寝殿造と書院造の違いを知ることは、単なる建築史の話に留まりません。それは、日本人の住まいに対する考え方や、生活、そして人の関わり方の変化を理解することにつながります。

寝殿造は、貴族的な格式と自然との調和を表す象徴であり、書院造は、より実用的で機能的な武家社会の精神を体現したものです。

これら二つの建築様式を知ることで、私たちは日本文化の奥深さを再発見し、より豊かに和室や住宅を楽しむことができるのです。

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