罹災証明書とは?水害被災時に役立つ取得方法と活用ポイント
罹災証明書とは?水害被災時に役立つ取得方法と活用ポイント
2024.10.02
日本では、台風や豪雨、洪水、地震などの自然災害による水害が毎年のように発生しており、多くの地域で浸水被害や家屋損壊が報告されています。水害に遭った際、日常生活の復旧だけでなく、様々な手続きが必要です。その中でも特に重要なのが「罹災証明書」の取得です。罹災証明書は、被害状況を証明する公的な書類であり、水害での支援申請や保険金請求に不可欠です。
この記事では、水害と罹災証明書の関係に焦点を当て、申請手順や活用法について詳しく解説します。
罹災証明書の概要
罹災証明書とは、災害で発生した被害の事実とその程度を公的に証明する書類です。水害によって家屋が浸水した場合や損壊があった場合、その被害を自治体が調査し、証明書を発行します。この証明書は、行政からの災害支援を受けたり、保険金を請求したりする際に必要となる重要な書類です。
特に水害の場合は、以下のような支援を受ける際に罹災証明書が役立ちます。
・災害見舞金や義援金の申請
・被災者住宅再建支援制度の活用
・税金や保険料の減免
・水害補償が含まれる保険金の請求
罹災証明書は、水害でどの程度の被害があったのかを自治体が調査し、その結果に基づいて発行されます。水害の影響を受けた際には、迅速に罹災証明書を申請することが、その後の支援や保険手続きの円滑な進行に繋がります。
水害における罹災証明書の重要性
水害による被害は、建物や家財に大きな影響を与えます。罹災証明書は、その損害を公的に証明するための唯一の手段であり、以下のような場面で特に重要です。
浸水被害の証明
水害に遭うと、床下浸水から建物の全壊に至るまで様々な被害が発生します。罹災証明書では、被害の程度に応じて「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準損壊」等の区分がされます。特に、浸水による床下や床上の損傷は見た目では判断しづらい場合もありますが、証明書によって正式に認定されることで、後々の支援や保険金請求がスムーズになります。
被害程度の認定基準については、内閣府の定める「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」で以下のように定められています。
<全壊>
・住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの。住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの。
・住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもの。具体的には、住家の損壊、焼失、流失した部分の床面積が、その住家の延床面積の 70%以上に達した程度のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が 50%以上に達した程度のもの。
<大規模半壊>
・居住する住宅が半壊し、構造耐力上主要な部分の補修を含む大規 模な補修を行わなければ居住することが困難なもの。
・損壊部分がその住家の延床面積の 50%以上 70%未満のも の、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める 損害割合で表し、その住家の損害割合が 40%以上 50%未満のもの。
<中規模半壊>
・居住する住宅が半壊し、居室の壁、床又は天井のいずれかの室内 に面する部分の過半の補修を含む相当規模の補修を行わなければ居住することが困難なもの。
・損壊部分がその住家の延床面積の 30%以上 50%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が 30%以上 40%未満のもの。
<半壊>
・住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの。住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもの。
・損壊部分がその住家の延床面積の 20%以上 70%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が 20%以上50%未満のもの。
<準半壊>
・住家が半壊又は半焼に準ずる程度の損傷を受けたもの。
・損壊部分がその住家の延床面積の 10%以上 20%未満のもの、 または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害 割合で表し、その住家の損害割合が 10%以上 20%未満のもの。
(内閣府「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」より引用)
行政支援や見舞金の申請
水害後、自治体や国からの支援を受けるためには、罹災証明書の提出が不可欠です。災害見舞金や復興支援金の申請時に、この証明書が必要となることがほとんどです。特に、被害が大きい場合は、支援金の額が罹災証明書に記載された損壊区分によって異なるため、正確な被害状況を記録してもらうことが重要です。
保険金の請求
火災保険や水害に対応する保険に加入している場合、罹災証明書は保険金請求の際の重要な証拠となります。水害では、家屋の外見に大きな損傷が見られない場合でも、内部の構造や家財が大きな被害を受けていることが多く、罹災証明書がそれを正式に証明します。保険金をスムーズに受け取るためには、この証明書の存在が欠かせません。
水害時の罹災証明書の申請方法
水害に遭った後、罹災証明書の交付を受けるためには、次の流れで申請を進める必要があります。お住まいの地域によって異なる場合もありますので、詳細は自治体のホームページや窓口でご確認ください。
罹災証明書の申請
まず、被災した住民は自治体に対して罹災証明書を申請します。申請方法は自治体によって異なりますが、役所の窓口やオンライン申請が可能な場合もあります。水害で急な被害に遭った場合でも、迅速に申請することが大切です。
申請に際して必要な書類は以下の通りです。
・罹災証明申請書(本人だと分かるものを提示し、住所、氏名、電話番号を記入)
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等、本人確認ができるもの)
・被災した建物や家財の写真など、被害の程度を確認できるもの(可能であれば提出)
・保険証書(保険金請求を行う場合)
・代理人が申請する場合は委任状(同居家族であれば不要)
現地調査の実施
申請を受け付けると、自治体の担当者が被災地を訪れ、家屋の損壊状況や浸水の深さなどの調査が行われます。特に、水害では目に見える部分の損壊だけでなく、浸水による床下のカビや構造体の腐食など、見えにくい被害も評価されることが重要です。調査の結果を基に、建物の損壊区分が決定されます。判定の結果に納得できない場合には、自治体に対し再調査を求めることも可能ですので、担当の課に相談してみましょう。
証明書の発行
調査が終了すると、自治体は被害状況を基に罹災証明書を発行します。発行には数日から数週間かかることが一般的ですが、被災者が多い場合や被害が広範囲に及んでいる場合には、さらに時間がかかることもあります。
証明書の活用
発行された罹災証明書は、行政の支援や保険会社への請求手続きに使用します。多くの場合、支援金や保険金の申請は罹災証明書を提出することでスムーズに進めることが可能になります。
水害時に罹災証明書を取得する際の注意点
水害で罹災証明書を申請する際には、以下のポイントに注意することが重要です。
早めに申請を行う
水害発生直後は、多くの住民が罹災証明書を申請するため、自治体の対応が混雑することがあります。早めに申請を行うことで、証明書の発行が早まり、支援や保険手続きも迅速に進めることができます。申請の遅れは、生活再建に支障をきたすことがあるため、できるだけ早く対応することが推奨されます。
被害状況の写真撮影をする
罹災証明書の申請時には、被害の証拠として写真を提出することが重要です。水害では、浸水した範囲や破損箇所を撮影し記録しておくことで、後の調査や保険金請求がスムーズに進む可能性が高まります。被害の場所が特定できる写真の他、住まいの全景(外観)もわかるように撮影すると良いでしょう。
保険会社との連携
火災保険や水害補償を含む保険に加入している場合、罹災証明書の発行を保険会社に知らせ、保険金の請求手続きを進める必要があります。特に水害では、内部構造や家財が大きな損害を受けることが多いため、保険会社との早期の連携が求められます。
まとめ
水害による被害は、生活に多大な影響を及ぼしますが、罹災証明書を取得することで、様々な支援や保険金の申請をスムーズに行うことができます。水害に遭った際には、速やかに自治体に罹災証明書を申請し、被害状況をしっかりと記録することが重要です。罹災証明書は、被災者が生活を再建するために欠かせない書類ですので、その役割や申請手順を理解し、適切に対応するようにしましょう。