地震による家屋倒壊に備える補助金制度の紹介
地震による家屋倒壊に備える補助金制度の紹介
2024.11.06
日本は地震大国として知られ、いつどこで大きな地震が発生してもありえません。地震などの自然災害によって家が壊れると、住む場所が失われるだけでなく、家族の安全や財産にも大きな被害があります。そこで防災や被災後の生活再建のために重要となるのが、地震で家屋倒壊リスクを軽減するための「耐震補強工事」と「補助金制度」です。
今回の記事では、地震による家屋倒壊リスクを軽減するために利用できる補助金制度について、対象となる家屋や補助金の概要、申請の流れやポイントを詳しく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
耐震補強工事とは?
耐震補強工事とは、地震の揺れに耐えられるように建物の構造を強化する工事です。家の基礎の部分や柱・梁に補強材を取り付け、揺れ等を吸収しやすい構造にすることで、倒壊するリスクを減らすことができます。耐震補強は、特に古い家屋や木造住宅で必要とされ、現代の耐震基準を満たしていない家屋は、特に倒壊のリスクが高いとされています。
倒壊リスクが高い建物とは?
特に1981年以前に建築された建物は、旧耐震基準のもとで建てられているため、地震に弱く倒壊の可能性が高いとされています。建築基準法の改正により、現在はより厳しい基準をクリアしないと新しく建物を建築することが出来ません。
地震対策としての補助金制度とは?
耐震補強工事には高額な費用がかかるため、国や地方自治体が防災の観点から補助金制度を設けています。これにより、住宅の所有者が負担を軽減しつつ、家屋の安全性を高める工事を行うことが可能となります。
補助金制度
補助金制度は国や地方自治体によって異なりますが、その中で主な制度は以下の2つです。
耐震診断補助金
まずは家屋の耐震性能を徹底的に調査し診断するための補助金です。専門家が建物の強度や構造を評価し、耐震補強が必要かどうか判断します。診断結果によっては、実際の工事が推奨されます。
耐震補強工事補助金
耐震診断の結果に基づいて実施される補強工事に対する補助金です。柱や壁、基礎部分を強化する工事費の一部を補助するもので、自治体ごとに支給額や支給条件が異なります。
補助金の対象となる家屋
補助金制度の対象となるのは主に「1981年以前に建築された建物」または「住宅の基礎が木造である家屋」です。
また、耐震診断補助金が利用できるかどうか、耐震後に耐震補強工事が必要と判断された場合に工事費用がどの程度補助されるかも、お住まいの都道府県、市町村によって異なりますので、自治体の窓口やホームページで確認しましょう。
耐震補強工事にかかる費用と補助金
耐震補強工事の費用は、一般的に50万円~200万円程度が目安とされています。 耐震補強の内容によって異なりますが、特に基礎部分や壁・柱の補強が多く行われます。工事内容や費用は、耐震診断の結果に基づいて決定します。
各自治体が提供する補助金の例は以下の通りです。
・耐震診断補助金:5,000円~50,000円程度(診断費用の限度または一部が補助される)
・耐震補強工事補助金:工事費の20%~80%程度が補助されるケースが多く、上限額は50万~150万円程度
例、東京都では耐震診断補助金が最大で50,000円、耐震補強工事の補助金が最大で120万円とされている場合があります。地方では防災対策の観点から積極的に補助金を支給する自治体も多く、対象地域によっては実質的な負担が少ないこともあります。
補助金の申請方法
補助金の申請には、いくつかのステップがあります。自治体によって詳細は異なるため、必ず申請先の自治体のルールに従ってください。
自治体への事前相談
補助金を利用する前に、まずは自治体の窓口で補助金の申請方法や必要書類について確認します。 自治体によっては予約が必要な場合もありますので、事前に電話などで確認しておくとスムーズです。
耐震診断の実施と結果報告
補助金を申請するためには、必要に応じて診断を行う必要があります。診断は自治体指定の専門業者によって行われることが多く、診断報告書を自治体に提出することになります。
耐震補強工事の見積り取得
耐震補強工事を行う場合、工事内容と費用を決定し、工事業者から見積りを取得します。見積りは複数業者から取ることで、予算に合った工事内容を選択することができます。
補助金申請書の提出
必要な書類を揃え、自治体に補助金申請書を提出します。提出後、審査が行われ、補助金の支給額が決定します。
工事の実施と完了報告
工事が完了したら、工事完了報告書を提出し、最終確認を行います。その後、補助金が支給される流れとなります。
補助金制度を活用する際の注意点
自治体によって補助額や条件が異なる
補助金や条件は自治体によって異なります。 地方の自治体では手厚い支援を行っている地域もある一方、都市部では比較的予算が限定されている傾向にあります、申請の時は必ず自治体の規定を確認しましょう。
耐震診断結果による制限
耐震の診断結果によっては補助金の対象外となる場合もあります。診断で耐震性能が十分と評価された場合、補強工事が不要となり、補助金の支給が行われないこともあるため、診断結果に応じて判断することが重要です。
期限や書類の不備に注意
補助金申請には期限が設けられていることが多く、申請のタイミングを逃すと補助金を受け取れない場合がありますので注意しましょう。
地震などの自然災害で家が倒壊した際に受けられる公的支援
ここまでは地震による家の倒壊を防ぐための対策を紹介してまいりましたが、次は残念ながら自然災害(地震、火災、津波、噴火など)により実際に家の損壊や倒壊、家財の損害などを受けてしまった場合の支援制度について紹介いたします。
被災者生活再建支援制度
「被災者生活再建支援制度」は、地震や台風などの大規模な自然災害によって住宅が半壊または全壊してしまった世帯に対し、生活再建の支援金(最大300万円)を支給する制度です。国と都道府県が共同で運営しており、支援金には「基礎支援金」と「加算支援金」の2種類があります。
<基礎支援金>
全壊・半壊といった住宅被害の程度に応じて支給されます。 具体的には以下のようなケースで支援金が支給されます。
半壊で大規模な修理が必要な場合:50万円
全壊または解体が必要な場合:100万円
<加算支援金>
被災者が新たな住宅を取得したり、再建したりするために必要な費用に応じて支給されます。具体的には以下のようなケースで支援金が支給されます。
住宅を再建する場合:200万円
住宅を購入する場合:100万円
賃貸住宅に住む場合:50万円
<申請方法>
被災者生活支援再建支援制度を利用するには、被災地の市区町村の役場にて申請手続きを行う必要があります。申請の際には、罹災証明書や本人確認書類が求められることが多いため、必要書類を確認して準備をしておきましょう。
災害救助法による緊急対応
「災害救助法」は、大規模な災害が発生した際に迅速な救助を行うことを目的とした法律で、居住地の都道府県が適用を認定し、措置が実施されます。
<主なサポート内容>
・応急仮設住宅の提供
自宅が全壊または倒壊し住む場所がなくなった場合、一時的に居住できる仮設住宅が提供されます。
・一時的な宿泊場所の提供
仮設住宅が提供されるまでの間、避難所や宿泊施設の利用が支援されます。 特に自宅に戻れない被災者にとっては、生活の基盤を一時的に確保するために必要な支援です。
・住宅の応急修理
自宅が半壊または一部損壊している場合、修理が必要な範囲に応じて最大60万円程度の補助が行われます。これにより、倒壊や破損した住宅の応急的な修理が可能となり、生活再構築までの負担が軽減されます。
被災者支援制度(市区町村単位の補助金)
被災者支援制度は、各市区町村が独自に設けているもので、自然災害による家屋倒壊や損壊時に適用される支援制度です。支援内容は自治体ごとに被災証明書の発行や、住宅再建に関する補助金、生活支援金等が提供される場合があります。
社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」
災害で家屋が壊れ、生活費などが不足している場合は、社会福祉協議会が提供する「生活福祉資金貸付制度」を利用することが可能です。先に無利子または低資金で資金を貸し付け、生活の再建を支援します。返済の時期については、返済を遅らせる猶予の方法もあるため、お住まいの市区町村の社会福祉協議会にご相談ください。
<サポート内容>
・生活支援資金
災害によって一時的な生活困難に陥っている場合、日常生活に必要な費用を無利子または低利子で貸します。
・住宅再建資金
倒壊した住宅の再建や修繕に必要な資金を貸し付けます。この貸付金は、返済期間や猶予が一時的に行われているため、生活再建に利用しやすい制度です。
<申請方法>
社会福祉協議会の窓口で申請を行います。結果は家族構成、被災状況に応じて支給額や条件が決まるため、詳細についてはお住まいの社会福祉協議会に相談しましょう。
税金関連の支援
地震などで家屋が倒壊し、経済的に負担が大きい被災者には、固定資産税などの税負担を軽減するための措置が用意されています。
<サポート内容>
・所得税の損税控除
被災により住宅や家財が損害を受けた場合、税金の申告で一定の免責を受けられます。免責額は損害額や保険金支給額などによって異なります。
・固定資産税の減免措置
家屋が大きな損害を受けた場合、次年度の固定資産税が減免されることがあります。減免措置の対象となるのは、全壊や半壊など一定の基準を満たした場合です。
<申請方法>
税務署や自治体の税務課で申請を行います。免除申請には、罹災証明書や災害による損害の証明書類が必要ですので、事前に準備して避難しましょう。
まとめ
以上のように、地震による家屋の倒壊リスクを軽減するために、耐震補強工事と補助金制度を活用することは、災害の多い日本で暮らす上で非常に重要です。 特に1981年より前に建てられた建物で暮らしている場合は倒壊リスクが高いため、早めの耐震診断と補強工事の検討をおすすめします。自治体の補助金を活用すれば、工事費の負担を軽減できるために、まずは自治体に相談して、安心で安全な住まいづくりをして下さい。
また、災害によって被害を受けてしまった場合は公的な支援を受けることもできますので、今後起こり得る災害に備え、今回の記事で紹介した制度について知っておくことは大切です。
この記事以外にも、このサイトでは災害時の建物の損壊に対する支援や建物のリフォーム、古民家再生などに関連した情報を発信していますので、ぜひ合わせてご覧くださいませ。