囲炉裏部屋の作り方と気を付けること

現代の家ではあまり見る機会のない囲炉裏ですが、古民家をリノベーションした宿泊先やレストランを利用した際に触れる機会があったり、テレビ等で見て「囲炉裏のある暮らしって素敵だな」と憧れる方は多いのではないでしょうか。
実は最近、新築の家を建てる際にあえて囲炉裏を作ったり、空き家となった古民家を購入し住まいとして再生させる際、囲炉裏をそのまま活用するといったケースが増えているのです。
そこで今回の記事では、囲炉裏部屋の作り方、そして囲炉裏に関して注意しなければならないことについて解説してまいります。
どうぞ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

囲炉裏とは

囲炉裏とは、部屋の床面を正方形または長方形の四角に切って掘り下げ設置した炉のことを指し、灰を入れてその中で薪や炭を燃やすことで料理や食事をしたり、囲炉裏を囲んで暖をとったり、家族とコミュニケーションをする場として昔から使われてきた日本人の生活に欠かせないものでした。

囲炉裏部屋の作り方

囲炉裏部屋に必要な条件

囲炉裏は家の中で焚火をやるようなものですので、安全に使用するためには以下の設備を備えた囲炉裏部屋を作らなければなりません。
＜外に煙を出すための窓＞
古民家の囲炉裏部屋には囲炉裏の真上にあたる屋根に煙窓が設置されています。
新しく作る場合は屋根裏の壁に換気するための窓を開けることをおすすめします。
囲炉裏の煙と排煙の効果で暑さがこもるのを和らげたり、湿気の除去や虫・害虫除けといった効果も期待できます。
＜飛び火を防ぐための火棚＞
古民家の囲炉裏の真上には、天井裏に飛び火の粉が飛ぶのを防ぐために格子状の厚い板（火棚）が設けられています。
火棚には囲炉裏の熱を反射させて下へ戻し、室内を暖める役割もあります。
また火棚に鍋を吊るして調理を行ったり、洗った服やタオルを乾かしたりとさまざまな活用方法があります。

囲炉裏部屋の内装制限

囲炉裏は火使った設備であることから、もし建物の中で火災が発生した時に火災が広がり有害なガスを発生させたり、人が避難する妨げになる状況であったり、内装が激しく燃え上がることのないよう規定を設けた制限＝内装制限が決められています。
その内容は、
・囲炉裏は長幅が90cm以下
・囲炉裏を設けた室（いろりの端の各点を水平方向に95cm移動したときにできる軌跡上の各点を、垂直上方に130cm移動したときにできる軌跡の範囲内の部分（回り縁、窓台その他これらに類する部分を含む場合にあっては、当該部分の仕上げを特定不燃材料でしたものに限る。以下この号において「いろり可燃物燃焼部分」という。）に壁又は天井が含まれる場合にあっては、当該壁又は天井の間柱及び下地を特定不燃材料としたものに限る。）
・囲炉裏の可燃物燃焼部分の壁、天井の室内に面する部分は特定不燃材料で仕上げる
・可燃物燃焼部分以外（（いろりの端の各点を水平方向に150cm移動したときにできる軌跡上の各点を、垂直上方に420cm移動したときにできる軌跡の範囲内の部分に限る。）の壁と天井の室内に面する部分は難燃材料等で仕上げる
非常に細かく制限されていますが、安全に囲炉裏を楽しむために厳守して下さい。

囲炉裏部屋の作り方の流れ

囲炉裏自体は実は非常にシンプルな構造で、比較的簡単に作ることが出来ます。
それよりも内装制限を守り囲炉裏部屋をしっかりと作ることの方が重要になるのです。

１．囲炉裏を設置する場所の床板を切り取る

床板を外し、太い柱の上に渡してある細い板を四角く切り取ります。真上に排煙できる窓が位置するようにして下さい

２．基礎を作る

コンクリートブロック、レンガを積み上げてコンクリートやモルタルで固めます。石を積み上げて土壁に使う粘土で固める方法もあります。

３．縁を作る

木やレンガを使って炉縁を作ります。木の場合は角材で組むだけでもOKです。
ただし木材は熱で収縮するため、角の部分は「ほぞ」でしっかり組むようにして下さい。金属は火傷の危険があるため使用しません。

３．火棚を作る

麻縄を使って一枚板を天井や梁から吊り下げます。少し手間をかけて格子状に組むとおしゃれな見た目になります。

４．自在鉤を吊るす

囲炉裏の火力を調整できるよう、火棚に自在鉤を吊るします。

以上のように、たった4つのステップで囲炉裏部屋、囲炉裏は完成します。

まとめ

以上のように、囲炉裏は意外な程シンプルで簡単に作ることが出来ますが、今は安全で便利な台所がありますから、囲炉裏をわざわざ設置する家は少なくなりました。
しかし内装制限など安全面に気を付けて囲炉裏部屋を作り、炭火の管理も徹底することで、囲炉裏から得られるメリットは多くあります。
ぜひ皆様のご家庭にも、身も心も温まる囲炉裏を設置してみてはいかがでしょうか。