古民家のフルリノベーションを成功させるポイント
古民家のフルリノベーションを成功させるポイント
2023.11.06
設備や建具などが劣化した築年数の古い家や、家族構成や生活スタイルの変化によって現在の間取りでは快適に生活が難しいと感じるようになった時、そして中古住宅を購入した際にリノベーションやリフォームを考える人が多いでしょう。
中でも空き家となった古民家の購入を考えている方は必ず何かしらの改修が必要となってきます。
全国に残されている昔ながらの古民家は、日本の歴史や伝統、文化、職人の高度な技術が残された貴重な建築物です。
そのため解体して建て替えするのではなく、リノベーションによって現代の暮らしに合った住まいや店舗、宿泊施設として再生し活用していくことがおすすめです。
そこで今回の記事では、古民家をフルリノベーションする場合の抑えたいポイント、費用の相場、業者探しの注意点などを項目に分けて解説します。
どうぞ最後までご覧いただき、参考になれば幸いです。
フルリノベーションとは?
そもそもフルリノベーションとは何でしょうか。
リノベーションとは「その家、部屋で暮らす人の生活に合わせて改修を行うこと」を指します。
新築のようにする訳ではなく、あくまで家の機能を新しくバージョンアップするようなイメージです。
LDKを広くしたり、リビングに床暖房を入れたり、古いキッチンをシステムキッチンにするといった生活を快適にするために性能を上げるような改修もリノベーションに含まれます。
一方でよく混同されるリフォームについても説明すると、一般的には「古くなって劣化したり、壊れてしまったものを修繕すること」を指します。
変色したり破れてしまった壁紙や外壁、床のフローリングを張り替えたり、古い和室を洋室にしたり、収納を増やしたり、壊れたトイレや風呂、洗面所を最新のものに交換するための工事を行うといったことが該当します。
そしてフルリノベーションとは住宅全体をリノベーションすることを指し、大規模な間取りの変更のような解体を伴った施工になります。
ちなみにスケルトンリノベーションという言葉もあり、スケルトンの場合はその名の通り住宅を骨組みだけにしてからリノベーションを行うことを言います。
古民家をフルリノベーションする目的、抑えたいポイント
古民家をフルリノベーションする際に抑えておきたい主なポイント3つを紹介します。
<断熱>
「古民家は寒い」とよく言われます。100年、200年前の建物ですから断熱材はもちろん使われていませんし、経年劣化で屋根や柱の歪みや傷みにより隙間が生じ、冬は冷気が入ってきてしまいます。
寒さ対策として窓を二重窓や複数窓にする、サッシを樹脂のものにする等、断熱や省エネのための施工を行って快適に生活できるようなリノベーションを行いましょう。
<耐震>
古民家は現代の耐震基準を満たしていないため、安全に暮らしていくには耐震補強を行うことが必要です。
建物調査、耐震診断を依頼し、基準を満たすよう適切な工事を行って建物の耐震性を向上させましょう。
<安全>
古民家は土間や床の段差が大きく、階段も急であることが多く、特に小さな子どもや高齢者が家族にいる場合は段差をなくす、手すりをつける等のバリアフリー化の工事も検討もしましょう。
古民家のフルリノベーション費用相場と期間の目安
古民家をフルリノベーションした場合、水回りの設備や内装の交換の他、耐熱、断熱性の向上、基礎の補強などといった大規模な工事が必要となるため、地域や依頼する会社にもよりますが相場としては1000万円を超える額がかかるでしょう。
耐震補強が100万円~200万円、断熱材が300万円程度の予算が必要となり、他に間取りの大幅な変更や大きい建物である場合には1500万円以上となる可能性もあります。
しかし、家の状況によっては構造部分の工事は最低限で済んだりと費用を抑えられることもありますし、古民家ならではの雰囲気を残すためにあえてそのままの状態を利用し趣のある空間を作ることでコストダウンを実現し1000万円以下で可能なケースもあります。
期間としては概ね3ヶ月が目安ですが、工事の範囲や面積にもよりますので業者の担当に相談、確認の上、余裕をもってスケジュールを見ておくと安心です。
古民家のリノベーション、リフォームで利用できる制度
古民家を改修する工事はは補助金や減税の対象となるケースが多く、事前に必ず確認し申請しましょう。
住宅ローンについても減税制度がありますので、主な制度を以下に紹介します。
<補助金>
耐震診断や耐震補強に対し、多くの自治体で補助金制度を設置しています。中には100万円以上の補助を受けられる場合もありますので、必ずチェックしておきたいものです。
上限や対象となる条件は様々ですので、各自治体の窓口に確認しましょう。
<減税>
耐震や省エネ、バリアフリー、同居の対応、長期優良認定といったリフォームを行った場合、工事費用の10%が所得税額から控除される制度があります。所得や工事の内容、工事費について要件が定められています。
また、住宅ローンを使用してリフォームやリノベーションを実施した場合、所得税額が控除されます。こちらもさまざまな要件がありますので、詳細な情報は検索してご確認下さい。
その他、固定資産税の税率が軽減されるケースもあります。
古民家のフルリノベーションを安く行うコツ
古民家のフルリノベーションには大変な工事が発生しやすく大きな金額がかかってくるため、経済的な不安を感じる方は多いでしょう。
少しでもコストを安くする対策として、「できるだけ使える既存のものは利用する」という方法があります。
基礎や耐震、断熱といった工事は、後から追加で工事をすることが難しいので優先し、天井の梁や玄関の土間などの古民家としての特徴のある箇所はあえて手を加えずに残し費用を抑える。古さを活かし、レトロモダンなおしゃれで魅力あるデザインとしても人気です。
古民家リノベーションの業者選び
古民家のリノベーションには高い費用がかかり、気軽に何度も行うものではありません。
そのため、業者の選択は多少時間がかかっても慎重に行う必要があります。
失敗しないために、まずどのようなリノベーションをしたいのかを明確にし、こだわるポイントやデザインをあらかじめまとめておきましょう。
業者によって得意な分野と苦手な分野があります。
使いたい素材や建材も念のため考えておくと、それらに対応できる会社を絞ることが可能となります。
リノベーション会社のサイトやパンフレット等には実際に施工した事例が掲載されているはずですので、それらを見て希望にあっていそうかどうかを判断します。
また、古民家の物件に対する豊富な実績があるか、利用者の口コミや評価なども問題がなさそうかチェックすることも大切です。
更に、担当者の対応が丁寧かどうかも重要です。いくら掲載された実例が良くても、担当者が質問や疑問に丁寧に答えてくれなかったり、電話やメールでの対応が悪いと意思疎通が出来ず工事に影響が出てしまいます。
業者を探す際には、これらのことを踏まえて複数の業者に相談し、見積もりをもらい、プランやサービスも含めしっかり比べてみましょう。