

地震で倒壊した家屋の撤去費用と補助制度|公費での対応、申請手続き、注意点まとめ
地震で倒壊した家屋の撤去費用と補助制度|公費での対応、申請手続き、注意点まとめ
2025.04.11
2024年に発生した【能登半島地震】では、石川県を中心に多くの住宅が全壊・半壊し、生活環境が一変した被災地域が多数見られました。特に木造住宅や老朽化した建物は倒壊の可能性が高く、地震発生後の解体・撤去が必要となるケースも多く報告されています。
本記事では、地震によって倒壊した家屋等の撤去費用について、制度や申請手続き、補助金、公費負担の有無、自治体の対応等、被災者にとって役立つ具体的な知識を紹介します。さらに、自己負担を抑えるために重要な被災証明書や罹災証明書の取得方法、業者への依頼方法、相続や所有者不明の家屋への対応についても解説します。ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
地震による建物損壊の種類と判定基準
地震の被害を受けた家は、被害状況に応じて以下のように判定されます。
・全壊:構造体の大部分が破損し、使用不可能な状態
・大規模半壊:修復に多大な費用がかかる
・半壊:一部破損しているが、補修すれば使用可能
・一部損壊:小規模な破損で、居住に支障がない
この判定は、現地調査に基づいて行われ、「罹災証明書」または「被災証明書」として所有者に通知されます。これが各種補助制度の利用条件になります。
家屋の撤去はなぜ必要か?
地震で損壊した住宅を撤去せずに放置すると、以下のような問題が生じる可能性があります。
・防災上の危険(再倒壊や火災のリスク)
・廃棄物やごみの不法投棄
・生活道路の妨害
・空き家としての使用不可能
そのため、被災直後の早期撤去は、住民の安全と生活再建の第一歩として大切です。
撤去費用はいくらかかるのか?【相場と内訳】
解体工事にかかる費用は建物の構造や立地、坪数、業者によって異なります。以下は一般的な目安額です。
建物種別 | 坪単価(万円) | 概算費用(30坪) |
木造住宅 | 約3〜5万円 | 約90〜150万円 |
鉄骨住宅 | 約5〜8万円 | 約150〜240万円 |
倉庫など | 約2〜4万円 | 約60〜120万円 |
※上記は自費で依頼した場合の一例です。
撤去作業に係る費用の「算定基準」と手続きの実際
地震後の家屋撤去においては、「どの程度の費用が必要か?」を算定するプロセスが重要です。撤去費用は建物の状態や作業量、処分処理の方法、さらには土地の状況など、さまざまな要因に係るため、金額は一律ではありません。
基本的な算定の考え方
・建物の構造・面積(例:木造30坪など)
・解体前の準備や仮設工事(例:基礎の除去やごみ処理)
・周囲の環境(狭小地、重機搬入の可否)
・実際の撤去にかかる時間と人員
これらの項目を元に、業者や自治体が契約に先立って見積もりを提示し、費用の目安が分かります。
「公費」利用以外のケースにも注意
支援制度が利用できないケースや、制度の限りで対象外とされた部分(例えば敷地内の倉庫以外の建物など)については、個人での対応が必要となり、自費での解体を行うことになります。
この際にも、事前に契約内容や費用の詳細について、十分に理解し、業者としっかり相談することが基本的な対策です。
許可や手続きの「流れ」
撤去作業を行うには、多くの自治体で所定の許可が必要となります。これは、安全管理や生活環境の保持、近隣への配慮を目的としたもので、勝手に自らの判断で解体を行い始めることは認められていません。
事前の「認定」や「連絡」も重要
・公費撤去を希望する場合は、自治体からの認定(対象者の決定)が必要
・解体工事の前には、近隣住民への連絡や案内を行うのが望ましい
こうした配慮は、地域との信頼関係を守るだけでなく、トラブルを避ける目的でもあります。
公費による撤去支援制度の概要
被災者の経済的負担を軽減するために、自治体では公費による撤去費用の支援制度が用意されています。制度の対象となるには、以下の条件を満たす必要があります。
対象となる建物
・地震で全壊・大規模半壊・半壊と判定された家屋
・居住用住宅(店舗や倉庫は原則対象外)
・所有者が明確で、申請と同意書の提出が可能なもの
公費負担の条件
・被災証明書または罹災証明書の提出
・自治体への申請書類の提出
・解体工事の実施を行政が指定した業者に委託すること
この制度を利用すれば、撤去費用は無料または一部補助となることがあります。ただし、制度の内容や対象範囲は地域や自治体ごとに異なるため、必ず窓口で詳細を確認しましょう。
撤去までの流れと申請手順
撤去支援制度を活用するための一般的な流れは以下の通りです。
1.罹災証明書の取得(市区町村の窓口で申請)
2.建物の被害状況を現地調査
3.撤去制度の申請(書類・同意書・写真・所有者情報の提出)
4.自治体からの通知・判定
5.指定業者による撤去工事の実施
6.工事完了後の確認と終了報告書提出
必要な書類や申請方法は自治体の公式サイトや防災課などのページで確認できます。
注意すべき点・よくある質問(FAQ)
Q:制度の利用期限はありますか?
A:多くの自治体では、地震発生から一定期間(例:6ヶ月以内)に申請が必要です。期限を過ぎると自費での撤去となる可能性があるため、早めの準備が重要です。
Q:保険会社からの支払いと併用できますか?
A:可能です。火災保険や地震保険で補償される場合、保険会社の支払いと補助金の併用ができます。ただし、償還払い(後から支給)のケースが多いため、一時的に費用が発生することも。
Q:相続登記が済んでいない建物は対象になりますか?
A:所有者が明確であれば申請可能ですが、相続の関係が複雑な場合、同意書など追加の書類が必要になることもあります。
Q:一度取り壊した土地に「戻る」ことはできますか?
A:建築基準法や再建条件によって左右されます。建物を再建するには再度の許可や条件を満たす必要があり、いずれの場合も建築の専門家や自治体に確認が必要です。
被災後の生活再建のために必要な「情報収集」
各種制度の概要や申請方法、対象者の条件などは、自治体の窓口や専用サイトで順次公開されています。中には電話相談や対面での支援を行っているケースもあります。
また、撤去対象の一覧や進捗状況を記載した情報ページがある場合もあるため、定期的な確認が大切です。
まとめ|自己判断せず、早めの相談と対応を
以上のように地震後の住宅撤去は、ただの工事ではなく、被災者の生活再建と地域防災の要となる重要なプロセスです。費用の問題、所有の問題、制度の違いなど複雑な点も多いため、「何をどうすればいいか分からない」という方は、早めに専門窓口へ相談**してください。このサイトでは、他にも家や店舗などの建物のリノベーションや古民家再生、災害で住まいを被災した際の対応や対策などに関連する情報を発信しています。気になる内容がありましたら、ぜひ合わせてご覧くださいませ。