「半壊」で家に住めない:災害後の生活と住宅再建の現状
「半壊」で家に住めない:災害後の生活と住宅再建の現状
2024.11.01
2024年1月1日に発生した能登半島地震は、日本全国に大きな衝撃を与えました。「半壊」は一見すると完全に建物が壊れていないものの、そのままそこで生活をするのは安全ではないと判断されます。このような状況でどのように復旧が進められるのか、今回の記事で詳しく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。
半壊とは?「住めない」定義は?
まず、建物の被害判定は、全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊といった段階に分かれます。その中で「半壊」は、構造的な損傷があり安全に存続することが難しいとされる区分です。適用される具体的な基準を以下、紹介します。
・生存スペースの一部が破損し、雨風を防ぐことができない
・住宅設備(電気、水道、ガス)が使えない
・一時的な修理では再び被災するリスクが高い
・損壊部分が住家の延床面積の20%以上70%未満のもの
・住家の構成要素の経済的被害が20%以上50%未満のもの
2024年の能登地震半島では多くの住宅が「半壊」判定を受けました。 見た目には大丈夫そうに見える建物も多いですが、基礎や壁のひび割れなどが原因で、住むことが危険と判断されるケースは増えています。
「住めない」家屋の具体例
「半壊」により住めなくなる例として、以下のような状態が挙げられます。
・柱や梁がひび割れ、耐震性が低下する:次の余震や地震に耐えられない可能性があります。
・水道やガスが使えない:ライフラインの損傷は日常生活が送れないため通常の暮らしを送ることが難しくなります。
・雨風が室内に侵入する:屋根や壁の一部が破損している場合、浸水や湿気の危険があります。
実際に能登半島地震では、外観上大丈夫に見える家屋でも住民が避難生活を過ごすケースが多発しました。構造的な安全性の問題や生活インフラの停止が理由となり、住民が帰宅をためらう状況も続いています。
被災後の住民支援と補助制度の課題
半壊の判定を受けると、国や自治体から住宅の修繕・再建に対する支援を受けることが可能です。しかし、この支援が十分であるとは限りません。問題として、以下の点が挙げられます。
・修繕費用の高額化:住宅の修繕や補強には相当の費用がかかりますが、支給される補助金がそれを賄えない場合があります。
・生活再建支援金の保留:生活再建支援金の申請手続きや支給条件が免除されることがあり、すべての半壊住宅が十分な支援を受けられるわけではありません。
・仮設住宅の不足:避難生活を過ごす住民が多い中で、仮設住宅の数や居住環境が追いつかない状況が生じています。
これらの課題により、被災者が迅速に生活を再建することが難しくなっております。
半壊住宅の修繕と復元の流れ
半壊住宅の修繕には、通常以下の流れが必要です。
1.被害認定調査:地方自治体が派遣する専門家による調査を経て、被害の程度を判定します。
2.補助金の申請:判定結果に基づき、必要な修繕費用や見積もりを作成し、支援制度の申請を行います。
3.修繕工事の実施:申請が承認されると、修繕工事が行われます。 ただし、地震発生直後は工事業者や資材価格の不足が重なり、すぐに工事に準備できない場合も多くあります。
これらの手続きは一見簡単ですが、特に地震直後は人材や資材の不足、さらに天候の影響などもあり、工事が進まないケースが多々あります。
半壊住宅に住むリスクと心理的な影響
被災地では、「半壊」認定を受けながらも避難所を出られず、自宅に戻れない住民が増加しています。自宅が「半壊」であれば、生活環境が全壊と比べて一部は保たれているように見えるため、「少し手を加えれば住めるかもしれない」という気持ちが生まれやすいです。
能登半島地震の被災者の中には、心理的に「家に帰りたい」という思いと「安全を考えて避難生活を続けるべき」という葛藤を抱えている人が少なくありません。このような状態が続くと被災者の精神的なストレスも増大し、健康問題につながるリスクがあります。
被災後の住宅再建支援策の必要性
日本は地震の多い国であり、今後も大規模な地震が発生する可能性が高いです。そのため、以下のような対策を講じることが重要です。
・支援金の増額:被害状況に応じて柔軟に対応できる支援金制度を整備することが重要です。
・仮設住宅の改善:被災者が安心して生活できるよう、仮設住宅の建設数や居住環境の整備を強化する必要があります。
・住宅耐震化の促進:新築時やリフォーム時に耐震補強を行うことで、半壊や住めない家屋が発生するリスクを軽減することができます。政府や自治体が耐震化補助制度をより積極的に広報し、多くの人が利用できるようにすることが大切です。
まとめ
災害により家が被災して住めない、という問題に直面した時、 被災者が心理的な負担や生活再建の困難さを軽減するために、支援制度や仮設住宅の充実、さらに住宅耐震化の推進が必要です。国や自治体、また地域社会が協力し、迅速かつ効果的に支援を行うことで、被災者が再び安心して暮らせる環境を早期に整えることが求められます。
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