能登半島地震で行われた被災者支援について解説
能登半島地震で行われた被災者支援について解説
2024.04.02
まだ記憶に新しい令和6年に発生した能登半島地震。
復興や復旧が進められる中、被災地では今もなお多くの方々が避難生活を余儀なくされています。
被災された方々が1日でも早く平穏な生活を取り戻すことが出来るよう、国や被災地となった石川県、富山県、新潟県等、国・県・市をあげてはさまざまな被災者支援を設置、実施しています。
そこで今回の記事では、今後またいつどこで発生するか分からない自然災害に対し前もって知識を持ち、防災の対策や被災した時に少しでも落ち着いて対応ができるよう、能登半島地震で行われた被災者支援の内容を解説したいと思います。
どうぞ最後までご覧いただき、皆様の参考にしていただければと思います。
能登半島地震の種類別被災者支援
能登半島地震で実施されている補助金など被災者支援を種類ごとに紹介していきます。
・住宅支援
令和6年能登半島地震でで被災された方(災害救助法が適用された市町村で被災された方)に向け、応急的な住まいの支援が行われています。
流れとしてはまず、各市町村に罹災証明の申請を行い罹災証明書を発行してもらいます。
そして現地調査の上で認定された住宅の被害区分に応じた内容の支援を受けることになります。
例えば「全壊」「大規模半壊」「半壊」等、被害が大きく居住することが出来ない状況の場合、応急仮設住宅(建設型)、賃貸型応急住宅(みなし仮設)、公営住宅の提供が行われ、必要と認められる期間(仮設住宅や応急住宅は原則2年間)そこで暮らすことが可能です。
また、上記の区分でも損害を受けているものの修理をすれば居住が可能なケースや「一部損壊」と判断された場合は、自治体が事業者に依頼し修理や補修を行う応急修理制度や自己負担による修理を行います。
石川県では野々市市と川北町以外のすべての市町に対し災害救助法が適用となり、住宅に関する支援制度が実施されました。以下、その一部を紹介します。
<住宅の緊急の修理制度>
期限:令和6年1月1日から2ヶ月以内対応分(期限延長あり)
支援内容:雨水の侵入を防ぐためのブルーシート等の展張作業費及び資材費として1世帯あたり5万円以内
<住宅の応急修理制度>
期限:令和6年1月1日から12ヶ月以内(期限延長あり)
支援内容:罹災証明書で「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」の判定を受けた住家の修理費1世帯あたり706,000円以内。「準半壊」の場合は1世帯あたり343,000円以内。
<賃貸型応急住宅の供与>
期間:入居から2年以内
支援内容:住居が全壊または半壊で居住が困難、二次災害被害の可能性やライフライン途絶の住居の場合、民間の賃貸住宅を活用し応急住宅が供与される。
ただし、家賃が1ヶ月あたり2人以下の世帯で6万円以下、3~4人世帯で8万円以下、5人以上の世帯で11万円以下の額であるものに限る。超過分を個人負担することも不可。
<県営住宅等の供与>
支援内容:石川県内に所在する公営住宅の空き住戸を提供
<県外の公営住宅等の供与>
東京都、京都府、千葉県、岐阜県、愛知県、三重県、福岡県等の各自治体が管理する公営住宅等の空き住戸が提供
<被災者生活再建支援金>
期限:基礎支援金:災害のあった日から13ヶ月の間、加算支援金:災害のあった日から37ヶ月の間
支援内容:被災者生活再建支援法の適用により、石川県内では罹災証明書に基づいた住宅の「全壊」「半壊」「長期避難世帯」等を対象に、基礎支援金と加算支援金を支給。
住宅の被害状況や世帯人数によって支援金額は約20万円~300万円と異なる。
<被災住宅相談>
令和6年能登半島地震により居住する住まいが大きな被害を受けた方を対象に、「今後住み続けることができるのか」等といった住まいの再建に関する不安を建築士等の専門家に相談できる窓口を実施しています。
期日や時間、会場については自治体の担当課の窓口に問合せするか、自治体のホームページの案内をご確認ください。
<建替・住宅購入への支援>
「中規模半壊」以上の被害を受けた住宅で住宅を建て替え、購入する方の支援
<ブロック塀等の撤去支援>
道路等に面した危険なブロック塀等の撤去工事費の一部を支援
<私道災害復旧支援>
車両等の通行が困難となった私道の原形復旧工事費の支援
<家屋等の解体支援>
「半壊」以上の被害を受けた家屋等の解体、撤去を公費で行う
他必要な
・生活支援
石川県では被災地におけるライフラインの状況等により、被災者の生活環境を確保するために避難所を用意しています。
避難所案内のコールセンターも開設されました。
また、入浴支援やフェリーによる休養支援(食事と入浴を含めた一泊二日の宿泊、または日帰り入浴)も実施されています。
住宅が半壊以上の被害を受けた世帯への支援金や、家財に大きな被害を受けた世帯に生活の建て直しに必要な資金の貸付もあります。
・金融機関の支援
能登半島地震によって預金通帳やお届け印鑑、キャッシュカード等の銀行で必要なものを紛失された場合、払い戻しやローン等に関する相談窓口が用意されています。
石川県では北國銀行、北陸銀行、県下JA全店舗で対面や電話による相談の窓口、各種融資手数料の免除があります。
・電気、水道料金、下水道使用料の減免
北陸電力では電気料金の支払い期日の延長、不使用月の電気料金の免除、使用不能設備相当分の基本料金の免除といった措置が実施されます。
家屋の損壊等の被害に遭ったお客様に対する特別措置もあるようです。
また、能登半島地震に係る水道料金、下水道使用料も減免されます。
・携帯電話、通信回線
通信キャリア4社(docomo、KDDI、SoftBank、楽天モバイル)では、携帯電話料金や電機サービスの料金の減免、手数料の無料化といった被災者支援が発表されました。
申告制の免除もあるため、詳細は各社のサイトで更新された最新の情報を確認し必要な対応を行いましょう。
・年金、税金
国民年金保険料の免除、厚生年金保険料等の口座振替および納付の猶予、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の減免、自動車税(種別割)の減免、個人事業税の減免、不動産取得税の減免の他、国税に関する法律に基づく申告や申請、請求、届出および書類の提出、納付等の期限の延長措置があります。
・中小企業、働く方に対する支援
緊急金融相談窓口の設置(地域産業支援課076-444-3248)、県による震災対策特別融資の創設
・問合せ先まとめ
石川県では、避難や生活費、医療、福祉などの電話番号など問合せ先をPDFにまとめています。
被災者支援の各種手続きに必要な「り災証明書」
能登半島地震における以上の支援制度を利用する再にも必要となる「り災証明書」は、災害による住宅の被害の程度等を証明するための重要な書類で、能登半島地震に限らず災害時の被災者生活再建支援金の申請や税金の減免、各種融資など、様々な申請をする際に必要となります。
交付窓口は各市区町村で、申請をすると職員による被害認定調査が行われ、その結果に基づき「り災証明書」が発行、交付されます。
手続きには申請書の他、身分証明書等が必要となります。
また、忘れないでほしいのが住宅の被害状況がわかる写真を撮影しておくこと。スマートフォンのカメラでも構いません。
状況によっては現地調査を行わず、撮影いただいた写真を証拠としてすぐにり災証明書を発行してもらえるケースもあります。
ただし、安全に十分注意して撮影を行い、危険な可能性がある場合は無理に撮影しないよう注意して下さい。
まとめ
能登半島地震のように突然の大きな自然災害により住居を失ったり日常生活を送ることが困難となってしまうと、ただでさえ苦しい状況の中、先が見えない不安に襲われてしまいます。
そんな時、くらしを立て直すためにどのような方法があるのかを知っておくことで、少しでも安心を得ることが出来るでしょう。
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