囲炉裏と土間のメリットとデメリット
囲炉裏と土間のメリットとデメリット
2024.01.19
囲炉裏や土間というのは古民家をイメージした時にまず思い浮かぶ光景と言っても良いくらい、古き良き日本の建物を代表するものですよね。
現代の住宅ではなかなか見かけることはありませんが、その人気や憧れは根強く、古民家のリノベーション・リフォームであえて囲炉裏や土間を残す人や、新築の建物に囲炉裏や土間を設置してあえて古民家風にデザインすることもあります。
そこで今回の記事では、囲炉裏と土間、それぞれの特徴やメリット、デメリット、注意点について解説してまいります。
どうぞ最後までご覧いただき、囲炉裏や土間の設置を考えている皆様の参考になればと思います。
囲炉裏(いろり)とは?
昔の日本の住まいには当たり前にあった囲炉裏。日本人の暮らしには欠かすことのできない必要なものでした。
室内の床を四角に切って掘り下げ灰を敷き詰めて設けた炉で、炭や薪を燃やして火をおこし料理や暖をとるために使用します。
古民家の囲炉裏には自在鉤(じざいかぎ)と言う金具を天井から吊り下げ、そこに釜ややかんを取り付けたり、網や五徳の台を用いたりもします。
囲炉裏は場所によって違いはありますが、一般的にリビングとなる広間の中央に設置されていました。
囲炉裏を設置するメリット
囲炉裏が長く日本人の暮らしとともに存在し愛されてきたのには理由があります。
以下、主な囲炉裏の役割、メリットを5つ紹介します。
<炊事>
囲炉裏はお米を炊いたりお湯を沸かしたり、鍋を作ったり魚を焼いたりetc…
さまざまな調理に利用することが可能です。
古民家でもキッチンに釜土を設置している家もありますが、囲炉裏の方が幅広い調理法に対応が出来ます。
<暖房>
暖房器具のない昔の時代、囲炉裏は貴重な火の元であり、冬の間は部屋を暖めるため火を絶やさないようにされていました。
また、火で暖めるため除湿の効果もあり、古民家の建材である木の水分が取ってくれることで更に丈夫になり、腐食することを防ぐことが出来ます。
日本は湿度の高い国ですから、囲炉裏との相性は抜群なのです。
<防虫>
昔の住宅は木造であり、また屋根が茅葺屋根であったりすると現代の鉄筋の家よりも虫がわいたり、つきやすかったりします。もちろん殺虫剤や防虫剤のない時代。実はここでも囲炉裏は活躍します。
囲炉裏で炭や薪をいぶすと煙が出ますが、虫は煙を嫌がるため撃退することが可能なのです。
<保管、乾燥>
上記で除湿効果をあげたことに繋がりますが、囲炉裏の火で部屋を乾燥させるため、洗濯物を乾かしたり、食べ物を乾かして保管することにも役立ちます。
<コミュニケーション>
囲炉裏があると自然に家族や人が集まり、食事や暖を取る際に自然と会話が生まれるため、囲炉裏はコミュニケーションの場として最適です。
また、火は人をリラックスさせる効果があると聞いたことはありませんか?今の食卓とは違い、囲炉裏には火がありますので自然と目に入り人々が癒され、良い関係を作る役割もあったでしょう。
囲炉裏を設置するデメリットと注意点
囲炉裏はやはり家の中で火を使うことになりますから、当然注意しなければならないことが出てきます。
まず、煙の問題。古民家は隙間が多いため、換気のシステムがなくてもあまり問題はありませんでした。
しかしリノベーションをして機密性など性能を高めたり、現代の家に囲炉裏を導入する場合には一酸化中毒の心配がありますので十分に換気できる設備を設置しなければなりません。
そしてやはり心配なのが火事です。囲炉裏の火や炭火の始末、処理がとても重要となってきます。
そもそも現在は建築基準法において家の中での火の使用や設備の設置に制限がかけられています。
囲炉裏も例外ではなく、面積や材料などが細かく定められていますので、しっかりと従わなければならない点を注意しましょう。
もちろん、マンションなどの集合住宅に囲炉裏を設置することは出来ません。戸建てや平屋を探しましょう。
土間とは?
土間はその名の通り土足で歩ける空間であり、広い玄関を指します。
昔の家に土間があったのは農作業に必要な道具を置いたり作業を行うためで、玄関と作業場の両方の役割がありました。
大きな段差が特徴的で、その先にはすぐに囲炉裏があるという間取りが多く、靴を脱げばすぐに暖を取れたり食事ができるという便利なものでした。
土間を設置するメリット
<風通し>
土間は外と家の中をつなげ、広い空間があることで風通しが良くなるというメリットがあります。
そのため、土間に農機具などを置いておいても錆びにくく安心して保管することが可能です。
もちろん、家の中にも風が通るため快適な暮らしをするためにも効果的なのです。
<メンテナンスのしやすさ>
古民家にある土間を活用する際、床材はコンクリートやモルタル、タイル等を使うかと思います。
これらの素材は汚れや傷に強く、掃除やメンテナンスがしやすいというメリットがあります。
<収納>
土間を収納スペースとして活用することも出来ます。
小さなお子さんがいる場合には、ベビーカーや三輪車、外遊び用のおもちゃ等も置けますし、大人の自転車や趣味の物を置くことも可能です。
<家づくりを楽しむ>
土間をリビングとつなげて開放感のある空間を作ったり、スキップフロアにしたり、土間にテーブルとチェアを置いてカフェやロビーのように使ってホテルライクな空間を作ることも可能です。土間から吹き抜けにし階段を設置して家族の生活のスタイルに合わせることも。
また、キッチンとパントリーを設置して家事の導線を良くしたり、書斎やワークスペース、ガレージ等にリノベーションする事例もあります。
このように土間がある物件をリノベーションすることは設計する楽しみが広がり、オリジナルで理想の暮らしやこだわりを実現することが出来るでしょう。
土間を設置するデメリットと注意点
土間には以上のように多くのメリットがある反面、少ないですがデメリットもあります。
それは寒さ。土間は風通しが良いこと、そして床材にコンクリート等を用いることで温度が下がります。
そのため、冬は冷えやすいという点を頭に入れておきましょう。
断熱性を高める仕様にしたり、暖房器具を設置する等の対策が大切です。
また、高い段差があるため、同居する家族に高齢者や小さな子どもがいる場合には気を付けなくてはなりません。
リノベーションの施工や家を建てる際に、古民家に詳しい建築家や会社に相談をしてより良い結果となるよう提案を受けたり情報をもらうことをおすすめします。
土間と囲炉裏を現代の家に
古民家のリノベーションはもちろん、新しい家を古民家風に建て、囲炉裏や土間を設置する際、和室に囲炉裏を設置したり、無機質なコンクリートやモルタル、ウッドデッキ、現代のインテリアとの組み合わせでモダンな雰囲気を演出することができます。
和な雰囲気を出すためにすべてを和風にするのではなく、あえて洋風なものをミックスさせると意外な程相性が良かったりもします。
他にも古民家やリノベーションの関する情報を発信しておりますので、ぜひ合わせてご覧いただければ幸いです。