茅葺屋根の特徴は?雨漏りしないのはなぜ? - 古民家再生 丹保建設 富山県南砺市 金沢市

茅葺屋根の特徴は?雨漏りしないのはなぜ?

茅葺屋根の特徴は?雨漏りしないのはなぜ?

2024.01.17

茅葺屋根は日本の歴史や文化を残す住宅にも使われ、世界文化遺産に認定されている白川郷や五箇山の合掌造りなどは有名ですよね。日本国内からはもちろん、海外からの観光客にも大変な人気で、この独特な建物が醸し出す和の雰囲気に癒される人が多いようです。
しかし、現代の日本人にとって茅葺屋根は馴染みがなく、どのようなものなのか分からないという人が多いのではないでしょうか。
近年、空き家となった古民家を購入しリノベーション・リフォームを実施し、新たな住まいや店舗、ビジネスを行う場として再生させる取り組みが活発化していることもあり、中にはこの茅葺屋根のある空き家を検討している方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回の記事では、茅葺屋根とはどのような屋根なのか、その特徴やメリット・デメリット、メンテナンスに関する情報を解説いたします。
どうぞ最後までご覧いただき、参考にしていただければと思います。

茅葺屋根とはどんな屋根?

茅葺屋根とは、藁(わら)や葦(よし)、ススキといった主にイネ科の多年草を材料として使用し作る屋根のとことを言います。
茅(かや)とはこの屋根を葺く草の総称で、材料の名前ではないんですね。
また、茅葺屋根というと日本の伝統のある住居というイメージを持つ方が多いと思いますが、実は世界のさまざまな国で見つかっています。
茅葺屋根の形にはその土地の風土が表れ、日本の茅葺屋根の場合農業の国として稲干しを思わせる形が多く見られます。

茅葺屋根のメリット

茅葺屋根は断熱性、保温性、通気性、吸音性が高いという特徴があり、実は非常に機能性の高い構造の屋根です。
茅葺屋根の民家に入ってみると、夏の涼しさ、冬の暖かさ、そしてその静けさに驚くでしょう。
一般的な古民家は通気性は良いのですが、断熱性や気密性が現代の建物と比較して劣っているためリノベーションで対策をしていないと冷暖房が効きづらく、季節によっては快適に過ごすことが難しい建物です。
しかし茅葺屋根の古民家は、このような古民家ならではのデメリットをカバーしてくれるのですね。

茅葺屋根のデメリット

茅葺屋根の最大のデメリットは、やはり乾燥させた草を使用しているため非常に燃えやすく、火事が起こると全焼を免れることが出来ないということでしょう。
他に耐用年数が他の屋根と比べて短く、数年に一度補修が必要になるという点もデメリットと言えるかも知れません。
とはいえすべての茅葺屋根が耐久性が低いわけでなく、造りによっては30年~40年以上もつ屋根もあります。

茅葺屋根は雨漏りしないのか

「草で出来た屋根だから雨漏りするんじゃないの?」
という風な疑問や心配を持たれる方も多いかと思います。
もし雨漏りしてしまう屋根だったら、現在まで住居や宿泊施設として残っているはずがないですよね。
それではなぜ、茅葺屋根は雨漏りをしないのでしょうか。
理由には諸説ありますが、現在は茅葺屋根の構造として材料となる茅は棒状の束になっているため、雨が降っても表面部分だけ水が流れて落ちていく導水効果により下まで浸水しないこと。
そして茅となる植物の茎には油分が含まれていることから、耐水性に優れているということが考えられています。
防水効果があるという訳ではなく、昔の人の知恵と職人の技術で雨仕舞となっているんですね。

茅葺屋根のメンテナンスの方法と費用

茅葺屋根は定期的に修理・補修を行う”差葺き”を行いながら維持していきますが、その対応に限界がくると葺き替えが必要となります。
葺き替えの方法には、屋根の全体を葺き替える”丸葺き”、分割して葺き替える”分割葺き”があり、状態に合わせて行っていきます。
そしてその施工には現代の材料や工法も用いられ、金属を被せることもよくあります。
ちなみに費用の相場としては、丸葺きで約1000万円~2000万円、分割葺きで約500万円かかるため、予算の目安としてください。
茅葺屋根の住居は日本の歴史、長く積み重ねた時間と生活を伝える価値の高い建物です。是非適切なメンテナンスを行いながら、未来へ継承していきたいですね。